アークナイツ アニメの主題歌とPVを一挙紹介！1期〜3期のOP・EDと映像演出から作品の世界観に迫る

その一音が鳴った瞬間、世界が塗り替わる感覚ってありませんか？

『アークナイツ』アニメシリーズの主題歌とPVは、ただの映像や音楽ではありません。それは“ロドス”の物語そのものを語る、もうひとつの語り部です。

この記事では、第1期『Prelude to Dawn』から第3期『Rise from Ember』までのOP・ED主題歌とPV映像を一挙に紹介しながら、歌と映像がどのように作品世界と共鳴しているのかを深掘りしていきます。

ReoNa、MYTH & ROID、糸奇はな──アーティストたちが紡ぐ旋律は、アーミヤやタルラの感情をどう翻訳してきたのか。そして、私たちの胸に何を残していったのか。全編を通して“音と映像で語るアークナイツ”の魅力に迫ります。

アークナイツアニメ1期『Prelude to Dawn』の主題歌と映像演出

OPテーマ「Alive」／ReoNaが描く静寂の決意

TVアニメ『アークナイツ』第1期『Prelude to Dawn』（2022年10月〜12月）のオープニング主題歌は、ReoNaによる「Alive」。本作の世界観と深く共鳴するこの楽曲は、重苦しくも静かな闘いの始まりを、繊細な声で描き出しています。ReoNaはこれまでも多くのダークファンタジー作品と関わってきましたが、『アークナイツ』ではその音の刃が、まさにロドスの矛盾と苦悩を切り裂くかのような存在になっています。

イントロで響くピアノとストリングスの繊細な旋律。その背後にある“孤独”と“選択”の感情は、アーミヤをはじめとする登場キャラクターたちが抱える運命そのもののようです。歌詞の中に織り込まれた「壊して、救いたい」という葛藤の構造は、ドクターを取り巻く人間模様の核心にも通じていて、アニメのストーリーと完全にリンクしています。

ReoNaの歌声は、ただ静かに“癒し”を与えるわけではなく、「生きる」という痛みと向き合う姿勢を突きつけてくる。その刹那的な美しさが、『Prelude to Dawn』という物語全体の基調と完璧に溶け合っていると感じました。アニメのOP映像と重ねると、無音の中に踏み出すアーミヤの歩みとリンクし、“始まりの恐怖”と“それでも進む意志”の共鳴が際立ちます。

特に印象的なのは、OPの後半でアーミヤがこちらを振り返るシーン。ReoNaの「Alive」が流れる中、その無言の瞳が私たち視聴者に問うてくるような演出が、本作の“音と映像のシンクロ性”を象徴しています。アニメOPとしての完成度はもちろん、ひとつの短編詩のような作品としても強い印象を残す楽曲です。

ReoNaが『アークナイツ』の世界観に選ばれた意味。それは“傷つきながらも進む者たちの声”を、彼女が唯一無二の表現で伝えられる存在だからだと、筆者は確信しています。楽曲単体としても素晴らしいですが、ぜひOP映像とセットで聴いてほしい。そのとき初めて、“ロドスの物語が動き出す音”として、あなたの心に届くはずです。

EDテーマ「BE ME」／Doulが響かせる個の祈り

『Prelude to Dawn』のエンディング主題歌は、Doulによる「BE ME」。このEDは、OPとは異なる角度からアークナイツの本質に迫るアプローチで、個々のキャラクターたちが抱える“祈り”や“存在証明”を内面から描き出しています。

Doulの歌声は一言で言えば“荒野の中の灯火”のよう。浮遊感あるサウンドと、まっすぐで透明なボーカルが交差しながら、ロドスという組織の中で葛藤する個々のキャラクターたちの感情を代弁してくれています。特に歌詞の「誰かの正義じゃなく、自分で選んだ生き方を」──このフレーズは、ドクターだけでなく、アーミヤ、チェン、フロストノヴァといったキャラの“痛みを抱えた選択”そのものです。

エンディング映像は、あえてシンプルで静謐な構成になっており、キャラの瞳や指先、背中など、表情以上に“心の揺れ”を映し出すカットが印象的です。光と影のコントラスト、余白のあるフレーミング、それらがDoulの声と合わさることで、ひとつの“瞑想の時間”のような映像詩に仕上がっています。

筆者はこのEDを観るたび、「BE ME」というタイトルの意味を深く考えさせられます。アークナイツのキャラたちは皆、自分の信念を守るために戦っていますが、それはどこか“人間であることの尊厳”を守る行為にも思えるのです。このEDは、そんな彼らの“個として生きる意味”を、静かに、しかし確かに刻みつけてくれる存在だと感じます。

OP「Alive」が“集団としてのロドスの決意”を描いたとすれば、ED「BE ME」は“それぞれのキャラの内なる声”を拾い上げる楽曲。1期を通してこの2曲が並んで存在していることが、アークナイツという作品の“群像劇としての魅力”を際立たせているのです。

アークナイツアニメ2期『Perish in Frost』の主題歌と演出構成

OP「Ache in Pulse」MYTH & ROIDによる冷徹な激情

TVアニメ『アークナイツ』第2期『Perish in Frost』（2023年10月〜11月）のオープニング主題歌は、MYTH & ROIDによる「Ache in Pulse」。この楽曲は、凍てつく大地に潜む感情の炎を掘り起こすような、鋭く冷たいサウンドが印象的です。タイトルに込められた“鼓動の痛み”は、そのままタルラやアーミヤが背負う過去と現在の断絶を象徴しているように感じられます。

MYTH & ROIDといえば、“美しさの中にある不穏”を巧みに描き出すユニット。その音楽性は、チェルノボーグの雪景色を背景に展開する2期の世界観とぴたりと噛み合い、心を掻きむしるような不協和の旋律とともに、物語の緊張感を一気に高めています。彼らの曲は“覚悟の歌”です。音のひとつひとつが、「もう戻れない場所にいる」という感情を突き刺してくる。

オープニング映像では、崩壊する都市、吹き荒れる雪、交差する剣と視線――そこに“感情を押し殺した者たちの闘い”が濃密に描かれます。MYTH & ROIDの歌声がその映像と重なることで、タルラの“心の凍結”が皮膚感覚で伝わってくるような演出になっています。雪が降るというより、“感情が凍っている”ように感じられる。それほどまでに楽曲と演出が一体化しています。

筆者が最も印象深く感じたのは、楽曲のラストに近づくにつれて“鼓動の速さ”が変化していく構成。その変化が、タルラの決断、そしてアーミヤとの邂逅に至るまでの心理変化を見事にトレースしていて、音楽が“キャラの心情の通訳者”になっているとさえ思えます。

『Perish in Frost』のOPは、まさに“冷たい激情”という言葉が似合います。MYTH & ROIDが描いたのは、表面は静かに凍りついていても、内側では破裂寸前の想いが煮えたぎる、そんな“抑圧と爆発”の物語なのです。

ED「R.I.P」ReoNaが再び刻む終焉の温度

エンディング主題歌は、1期に続いてReoNaが担当する「R.I.P」。この楽曲タイトルの“Rest In Peace（安らかに眠れ）”は、単なる死の祈りではなく、“哀しみを抱いたままの前進”をテーマにしているように響きます。ReoNaというアーティストの存在が、アークナイツの“静かな強さ”を体現していることが、2期で改めて感じられました。

「R.I.P」は、音数を絞った構成で、まるで雪のようにゆっくりと感情を降らせていきます。ED映像も、モノクロに近いトーンの中でキャラの面影が淡く映し出され、見る者の心をそっと締めつけてくるようです。タルラ、アーミヤ、そしてすでにこの世にいない存在たち――彼らの「それでも戦わなければいけない」という想いが、このEDには静かに息づいています。

筆者としては、ReoNaの声がEDで使われる意味に、“戦いの後の静けさ”を感じています。戦闘が終わり、仲間の名前をひとり思い出す時間──その時間にふさわしいのが、この「R.I.P」なのではないでしょうか。彼女の声が、“誰かの喪失”を受け入れ、“それでも前に進む者たち”の背を押してくれる。

アニメの2期は、物語の深部に踏み込み、登場人物たちの“過去と決別”というテーマに挑んだシーズンです。そんな物語の締めくくりに、ReoNaのこの曲があること自体が、アークナイツという作品が“闘いの中にも癒しを求める物語”であることの証なのだと感じました。

1期のOPで“生きる”を歌い、2期のEDで“死を超えて進む意志”を奏でたReoNa。彼女の存在は、音楽という領域からアークナイツの魂を支えているといっても過言ではありません。

アークナイツ3期『Rise from Ember』の最新OP・EDとPV分析

新OP「End of Days」ReoNaが灯す焔の祈り

2025年7月より放送開始の『アークナイツ』アニメ3期『Rise from Ember』──その主題歌に、再びReoNaの名が刻まれました。オープニングテーマ「End of Days」は、終末を照らすような優しい炎のような楽曲で、“壊れてしまった世界に、それでも希望を灯そうとする者たち”の物語に、静かに寄り添ってくれます。

イントロから感じるのは、かすかな光と痛みの気配。ReoNa特有のか細く芯のある歌声が、タルラやアーミヤの過去と向き合う姿と重なり、まるで“過去のすべてを抱きしめながら、それでも進む”という決意が歌になったかのようです。3期のテーマである「焔（ほのお）」という象徴も、彼女の歌声によって、破壊の炎ではなく、癒しと再生の象徴に変わっていくように響きます。

ノンクレジットOP映像では、静かに降る灰の中、キャラクターたちがひとりずつ登場する演出が秀逸。特に、タルラの振り返る表情に合わせてReoNaの歌が「終わりは、始まりだった」と語りかける瞬間、筆者は思わず鳥肌が立ちました。映像と音楽がここまで感情的に同期する作品は、アークナイツならではの美学です。

タイトルの「End of Days」には、“世界の終焉”と“日々の終わり”の二重の意味が重ねられていると考えられます。大局の中で揺れる小さな命──そんな存在の声に耳を澄ませるようなこの楽曲が、視聴者の感情の中に“静かな熱”を灯してくれるのです。

ReoNaはこれで3度目のアークナイツ参加。1期OP「Alive」、2期ED「R.I.P」からの流れを汲み、この「End of Days」で彼女は“アークナイツという物語の語り部”として、完全に作品の一部となりました。彼女の歌は、もはや単なる主題歌ではなく、この物語を生きるキャラクターたちの“声なき声”なのだと筆者は感じています。

ED「Truth」糸奇はなが映す、タルラの記憶と哀しみ

エンディング主題歌には、気鋭のアーティスト・糸奇はなによる「Truth」が起用されました。彼女の歌声は、まるで夢と現実の境界に立ちすくむような不安定さと美しさを持ち、これまでのアークナイツのEDとは一線を画す“幻想的な哀しみ”を纏っています。

この「Truth」は、単なる“真実”を意味する言葉ではありません。過去に目を背け、傷を抱え、それでも答えを探し続けるタルラの姿を象徴する言葉として機能しています。アニメ3期では、タルラの“過去の罪”と“今を生きる意味”が大きな軸になりますが、糸奇はなの紡ぐ旋律は、その内面世界を詩的に、そして儚く映し出してくれます。

エンディング映像には、燃え尽きた都市と、静かに佇むキャラクターたちの後ろ姿が映し出されます。特にタルラが幼い頃の自分を幻影のように見つめるカットは、このEDの中でも屈指の名シーン。糸奇はなの繊細な歌声が流れる中、その視線が語るのは、“赦されないこと”への苦しみと、それでも誰かを守ろうとしたかつての記憶です。

筆者にとって、このEDは“祈り”というより“問い”に近い存在でした。「真実はどこにあるのか？」「何を選べばよかったのか？」という終わりなき問いを、糸奇はなの声が代弁しているように思えるのです。楽曲そのものが、タルラの“懺悔”であり、“再生”への道を模索する揺らぎそのものなのかもしれません。

アークナイツのEDは常に“キャラの内面と向き合う時間”であり、今回の「Truth」は、その集大成とも言える作品になっています。糸奇はなの声が響くその余韻の中で、視聴者は否応なくタルラの感情と向き合うことになる。EDでここまで“心を掴まれる”作品は、アークナイツ以外にそうそうないでしょう。

全PV映像から読み解く、アークナイツの世界観演出

OP映像が語るアーミヤの成長と覚悟

アークナイツのアニメシリーズにおいて、各期のオープニング映像は“物語の象徴詩”として、ただの導入にとどまらない役割を果たしています。特にアーミヤというキャラクターの描き方には、各期ごとに異なる“覚悟の段階”が込められており、主題歌と映像が一体となって、彼女の成長を深く刻み込んでいるのが印象的です。

第1期『Prelude to Dawn』のOPでは、まだ表情に迷いや幼さが残るアーミヤが、決意の歩みを見せる姿が描かれました。ReoNaの「Alive」が流れる中、静寂の中を一歩ずつ進む彼女の姿は、ロドスのリーダーとしての“未熟であっても進む意志”を象徴しています。都市の風景が崩れ落ちる中で立つその姿は、まさに“孤独な責任”を背負う者のシルエット。

続く第2期『Perish in Frost』では、チェルノボーグの冷たい空気の中、アーミヤはより鋭い視線を宿し、戦う決意を固めた姿で登場します。MYTH & ROIDの「Ache in Pulse」と共に流れる映像では、彼女の“心の痛みと対峙する覚悟”が映像に投影され、氷のように冷えた街並みの中で、誰かを守るために立ち尽くすその姿が胸に刺さります。

そして最新の第3期『Rise from Ember』では、ReoNaの「End of Days」と共に、アーミヤの目には“恐れ”よりも“慈しみ”のような光が宿っていました。燃え盛る炎と崩壊する都市の中で、それでも歩みを止めない──その姿は、もはや単なる成長を越え、“選ばれた者の覚悟”すら感じさせます。映像と音楽が共に語る“アーミヤという存在の進化”が、シリーズを通じた大きな軸になっているのです。

筆者はこのOP映像群を“アーミヤの肖像詩”と呼びたい。言葉よりも先に、彼女の内面が視線や歩み、風景との対比によって語られている。アークナイツという物語において、“戦うとは何か”を視聴者に突きつけるのは、まさにこのOP演出の力だと思います。

ED映像が示すキャラクターの内面と余白

一方、エンディング映像には、オープニングとは異なる“静寂と余白”が漂っています。主題歌と共に流れるその数分間は、まさに“戦いの後の深呼吸”。キャラクターたちの目線、動かない背中、風に揺れる髪──そこに込められた感情の温度を、私たちは無意識のうちに受け取っているのかもしれません。

第1期ED「BE ME」では、Doulの透明な歌声とともに、キャラクターたちの“個の尊厳”を静かに浮かび上がらせました。画面には台詞もナレーションもありません。ただ、その静かな時間の中で、彼らが“何を背負い、何を選んできたのか”を感じ取れるような構成になっています。

第2期ED「R.I.P」は、ReoNaの歌声に導かれ、“失ったものと向き合う時間”を与えてくれます。映像には降り積もる雪、消えた焔、誰かの影――それらが示すのは、“何かを終えるということ”への哀しみであり、それでもその先に進む覚悟の静けさです。視聴後に自然と余韻が残り、“言葉にできない何か”が心に沈んでいく感覚がありました。

最新3期ED「Truth」では、糸奇はなの幻想的な歌声と共に、タルラの記憶や“過去の亡霊”たちが描かれます。燃え尽きた風景、時間が止まったような構図、その中でただ静かに涙を堪えるような視線。アニメという表現において、“語られなかった感情”をこれほどまでに丁寧に拾い上げるEDは希少です。

筆者が思うに、アークナイツのED映像は“観る者に解釈を委ねる時間”なのだと思います。明確な答えではなく、問いかけだけを残す。そうすることで、視聴者は自然とキャラクターの内面に思いを馳せ、自ら物語の続きを想像してしまう。これこそが、“考察されるアニメ”としてのアークナイツの強さであり、ED映像の持つ圧倒的な力なのです。

主題歌アーティストたちが紡いだ“もうひとつの物語”

ReoNaとアークナイツの関係性──3期に渡る音の系譜

アニメ『アークナイツ』シリーズにおける最大の音楽的特徴は、ReoNaというアーティストの存在を中心に据えて展開されている点です。彼女は1期のOP「Alive」、2期のED「R.I.P」、そして3期のOP「End of Days」と、三度にわたって本作の主題歌を担当しています。これはもはや“起用”というより、“共犯関係”と言っていいほどの一体感を作品に与えています。

ReoNaの音楽は、表面的な感動や熱狂ではなく、静かに胸に沈む“痛み”や“祈り”を響かせます。だからこそ、『アークナイツ』という“戦いと喪失”が日常にある世界観と、完璧にシンクロするのです。彼女の声が鳴り響くたび、私たちはアーミヤの憂い、ドクターの決意、タルラの贖罪を“音楽として体験”することができます。

1期「Alive」では、“壊れた世界で生きる”という選択の痛みを描き、2期「R.I.P」では、“失った命への祈り”を静かに綴り、3期「End of Days」では、“世界の終焉と再生”という壮大なテーマに挑んでいます。この三部作的な構成は、アークナイツという作品自体が進化してきた道のりと重なるもの。ReoNaは音楽の側面から、この物語を“もうひとつの方法で語ってきた”のです。

筆者は、ReoNaがアークナイツで果たしてきた役割を、“第三の語り部”と位置づけたい。脚本、演出、そしてReoNaの歌声――この三つが揃ったとき、初めてアークナイツという物語が“完成形”に近づく。そのくらい、彼女の存在は本作にとって不可欠であり、作品世界に深みと静けさをもたらしているのです。

主題歌の中に込められた“声なき言葉たち”は、視聴者の心の奥で何かを揺らし続けます。ReoNaがアークナイツと共に紡いできたその系譜は、まさに“音による物語”として、ファンの記憶に強く刻まれ続けているのです。

MYTH & ROID、糸奇はな…個性派アーティストたちの役割

アークナイツのアニメ主題歌には、ReoNaだけでなく、多彩で個性派のアーティストたちが名を連ねています。2期のOP「Ache in Pulse」を担当したMYTH & ROID、3期のED「Truth」を歌う糸奇はな──それぞれが独自の感性で、作品世界の“異なる層”を照らしてきました。

まずMYTH & ROIDは、“感情の激しさ”を音の中に織り込むプロフェッショナルです。「Ache in Pulse」では、鼓動のように打ち鳴るサウンドが、タルラの内に眠る“怒り”や“悲哀”を可視化させ、冷徹な世界でこそ必要とされる“激情の存在”を表現していました。アークナイツの2期が描いた“氷の都市での闘い”において、その冷たさと熱さを同時に語れるアーティストは、MYTH & ROIDをおいて他にいなかったでしょう。

一方で、3期EDの糸奇はなは、まるで霧の中を歩くような“曖昧で詩的な感情”を紡ぐ声の持ち主です。「Truth」は、明快な答えを提示する楽曲ではありません。むしろ、“答えのなさ”こそがテーマになっているような佇まい。その曖昧さが、タルラというキャラクターの複雑な内面と響き合い、視聴後に静かな問いを残してくれます。

筆者が注目したいのは、こうしたアーティストたちが“作品の一部になる”だけでなく、“作品に新たな視点を与える存在”になっている点です。音楽がキャラや世界を補完するのではなく、音楽自体が新たな語り部となって、アークナイツという多層的な物語を立体的にしてくれている。

アークナイツのアニメは、主題歌の選定ひとつとっても“誰がこの物語を語るべきか”を徹底的に考え抜いています。MYTH & ROID、糸奇はな、それぞれの個性が存分に発揮された主題歌たちは、単なるBGMではなく、“感情の延長線上”にある必然の存在。その精密さが、このアニメシリーズの音楽演出を特別なものにしているのです。

アークナイツアニメ主題歌まとめと今後の注目ポイント

1期〜3期の主題歌・映像演出の系譜を整理

アニメ『アークナイツ』シリーズにおける主題歌と映像演出は、単なるOP・EDの枠を超え、物語の“魂”を伝えるための不可欠な要素となっています。ここでは、1期『Prelude to Dawn』から3期『Rise from Ember』までの主題歌と映像表現の変遷を、改めて整理してみましょう。

1期のOP「Alive」（ReoNa）は、静寂の中で決意を描く一曲。アーミヤの歩み出す“始まり”に寄り添い、壊れた世界で生きることの意味を繊細に歌い上げました。ED「BE ME」（Doul）は、個の尊厳を描き出す楽曲で、戦うキャラたちの心情にそっと触れるような余韻を与えてくれました。

2期では、OP「Ache in Pulse」（MYTH & ROID）が氷の中に潜む激情を、ED「R.I.P」（ReoNa）が“喪失”の温度を描きました。チェルノボーグを舞台にしたシーズン全体のトーンを、これらの楽曲が感情面から完璧に補完し、“闘いの内側”を視聴者の心に残してくれたのです。

3期に至っては、OP「End of Days」（ReoNa）が“世界の終わりと再生”というテーマを祈りのように歌い、ED「Truth」（糸奇はな）は“語られなかった真実”を夢幻的に描きました。特にタルラという複雑なキャラクターを中心に据えたこのシーズンでは、映像と音楽がまるで彼女の内面世界をそのまま投影するかのような構成となっています。

このように、主題歌の変遷はそのまま“物語の深まり”とリンクしており、アークナイツという作品がどれほど音楽と真摯に向き合ってきたかが伝わってきます。筆者としては、これらを単なる曲として聴くのではなく、“一編の詩”として、映像と共に味わってほしいと強く思います。

第4期への布石？音楽と演出が語る“次なる物語”

そして気になるのが、アニメ『アークナイツ』第4期の存在です。正式な発表はまだないものの、3期『Rise from Ember』のPVやED映像の演出、主題歌の余韻からは“次なる物語”を予感させる仕掛けが随所に感じられます。

まず注目すべきは、ReoNaが3期OP「End of Days」で描いた“終わりの後の祈り”。この曲がもし“全体のクライマックス”であれば、あの静かな炎は“再出発の火種”とも取れます。そして、糸奇はなのED「Truth」が提示した“語られなかった真実”──この余白こそが、“物語はまだ終わっていない”ことを証明しているのではないでしょうか。

さらに、PV映像の中で描かれた“過去と現在の交錯”、キャラクターたちの“未解決の想い”。これらはアークナイツという作品が“終わりを描きながらも、終わらない物語”であることを示しています。次のシーズンでは、おそらくタルラを超えて、別の視点──例えばチェンやファウストといったキャラクターに焦点が移る可能性もあるでしょう。

音楽演出に関しても、もし第4期が実現するなら、これまでとは違うタイプのアーティストが新たな風を吹かせることになるかもしれません。ReoNaの系譜を受け継ぎつつ、より激しさや曖昧さを強調する表現者たちが登場すれば、アークナイツの音楽世界はさらに深化するでしょう。

筆者としては、次の主題歌がどんな“感情”を描くのか、そしてそれがどのキャラの心と響き合うのかを楽しみにしています。主題歌はアークナイツにとって、“キャラクターのもうひとつのセリフ”であり、“世界を語る声”なのです。第4期が来るなら、その最初の一音で、また新たな物語が始まる──そんな期待が、すでに胸の奥で鳴りはじめています。