アニメ『アオアシ』20話は、武蔵野戦を前にアシトが「本当の強さ」を考え始める、チーム全体の転機となる回です。
派手な試合展開よりも中心に置かれたのは、富樫と竹島の確執、そして「プロになること」と「勝つこと」を巡る価値観の衝突でした。ここを理解すると、これから始まる東京武蔵野蹴球団ユース戦の見え方が大きく変わります。
アオアシ20話「本当に弱い奴は」で何があった?
アニメ『アオアシ』20話「本当に弱い奴は」では、武蔵野戦直前のエスペリオンBチームに残る大きな問題として、竹島龍一と富樫慶司の確執が掘り下げられました。
前回まで苦しんでいた橘総一朗は、アシトや大友栄作の言葉、かつての仲間から向けられた思い、そして武蔵野戦のスタメンに選んだ伊達望コーチの信頼によって、ようやく前を向き始めています。
ところが、チームがようやくまとまり始めるかと思われたところで、竹島と富樫が殴り合いの大喧嘩をしていたことが判明します。
勝たなければならない武蔵野戦を前に、守備陣の中心となる二人がこの状態なのですから、チームとしてはかなり危うい。
ただ、20話が面白いのは、この喧嘩を単純な「仲が悪い二人のトラブル」として処理しなかったところです。
アシトと大友は原因を知ろうとし、ジュニアユース昇格組の朝利マーチス淳に話を聞こうとします。一方、武蔵野戦でスタメンに入った橘も、勝つためにチームをどうにかしたいと考え、遊馬に二人の過去を尋ねます。
ここで遊馬から語られるのが、富樫とエスペリオンのジュニアユース組の因縁でした。
つまり20話は、目前の試合に向けて戦術を確認する回ではありません。
「同じユニフォームを着ていても、同じ価値観でサッカーをしているとは限らない」ことを暴く回なのだと思います。
この亀裂を抱えたまま強敵・武蔵野と戦えるのか。
その問いが、20話全体を覆っています。
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富樫と竹島はなぜ仲が悪い?ジュニアユース時代の因縁
富樫と竹島の確執は、エスペリオンユースに入ってから始まったものではありません。
話は彼らのジュニアユース時代までさかのぼります。
当時の富樫はエスペリオンの正式なジュニアユース選手ではなく、福田達也にスカウトされてやってきた練習生でした。
この構図はアシトとよく似ています。
富樫もまた、福田に見いだされ、福田からサッカーを教わることを望んでエスペリオンへやってきた選手でした。
練習生は富樫を含めて3人いましたが、ジュニアユース組の高い技術水準と厳しい基礎練習についていけたのは富樫だけ。
見た目も言動も現在と同じく荒っぽいものの、最初から竹島たちと対立していたわけではありません。遊馬や黒田勘平とも、当初はそれなりに良好な関係を築いていました。
問題は、富樫がジュニアユース組の「サッカーへの向き合い方」を見始めてからです。
富樫が違和感を覚えたのは、主に次のような姿勢でした。
- 練習試合で練習生を文字通り「練習台」のように扱う
- ユースの監督が見ている時と、いない時で本気度が変わる
- ケガを恐れて危険なボールへ強く踏み込まない
- 試合の勝利以上に「プロになること」を優先している
富樫にとってサッカーとは、まず目の前の相手に勝つために全力を出すものでした。
しかしジュニアユース組にとっては、少し違います。
彼らは幼い頃からプロ選手になることを目標に、育成組織の中で競争してきました。目の前の一試合だけではなく、評価、成長、将来まで含めてサッカーを考えています。
どちらか一方が単純に間違っているとは言えません。
だからこそ厄介なのです。
富樫には、彼らが「勝負から逃げている」ように映る。
一方の竹島や黒田からすれば、富樫は自分たちが長い年月をかけて築いてきた価値観を外から来て否定する存在に映ります。
同じサッカーなのに、見ているゴールが微妙に違う。
このズレが年月を経ても消えず、エスペリオンユースで再び同じチームになった現在まで残っていたわけです。

アシトが20話で気づいた「本当に弱い奴」とは?
20話で重要なのは、富樫と竹島の過去そのものだけではありません。
その話を聞いたアシトが何を感じたのかです。
アシトは、富樫のように育成組織の外側からエスペリオンへやってきました。
技術も知識も足りない。
周囲には自分よりはるかに上手い選手がいる。
それでも、勝ちたいという感情だけは誰にも負けない。
その意味でアシトは、ジュニアユース昇格組よりも富樫に近い立場です。
大友は、プロにならなければユースにいる意味そのものがなくなるという現実的な見方を示します。
これは非常に重要です。
エスペリオンユースは学校の部活動ではありません。プロを目指す育成組織である以上、「将来プロになるためにプレーする」という昇格組の考え方にも明確な合理性があります。
そのうえでアシトが注目したのは、技術ではなく「ハート」でした。
勝負の瞬間に恐れず踏み込めるのか。
負けたくないという感情を最後まで手放さないのか。
アシトが見ているのは、そういう種類の強さです。
ここに、現在のアシト自身の成長も表れています。
物語序盤のアシトなら、上手い選手を見れば「すげえ」、自分より技術のある選手を見れば「追いつかなければ」と考えることが中心でした。
ところが20話では、選手の強さを技術だけではなく、判断・覚悟・勝負への姿勢まで含めて見るようになっている。
これはかなり大きな変化です。
ディフェンダーへ転向し、ピッチ全体を見なければならなくなったアシトは、サッカーそのものだけでなく、チームメイトを見る視野まで広がっているのではないでしょうか。
僕はここが、20話におけるアシトの一番重要な成長だと思います。
武蔵野戦直前なのにチームがまとまらない意味
20話の時点で、エスペリオンBチームの状況は決して良好ではありません。
次に戦う東京武蔵野蹴球団ユースは負けなし。
それに対してエスペリオン側には、複数の不安材料があります。
橘はかつての仲間である金田晃教との因縁によって一度は自信を失いかけました。
アシトは急速に成長しているものの、純粋な技術面ではまだ周囲に追いついていません。
そして竹島と富樫は、同じ守備陣でありながら関係が最悪です。
普通のスポーツ作品なら、強敵との決戦を前に「全員の気持ちが一つになる」展開を置きたくなるところでしょう。
『アオアシ』は、むしろ逆をやります。
強敵との試合直前になって、今まで見ないふりをしてきたチーム内部の亀裂を露出させる。
これはかなり残酷です。
しかし実際の集団競技を考えれば、こちらのほうが自然なのかもしれません。
同じチームだからといって全員が同じ考え方になる必要はない。
富樫が勝利を最優先していてもいい。
竹島たちがプロになるためのキャリアを考えていてもいい。
必要なのは価値観を完全に一致させることではなく、違う価値観を抱えたまま同じ90分を戦えるかどうかなのでしょう。
20話は、その問いを武蔵野戦直前に置きました。
試合そのものが始まる前から、もう勝負は始まっているんですよね。
アオアシ20話の伏線回収|富樫・黒田・竹島の関係がつながる
20話では、それまで断片的に描かれていた人物関係も一気につながります。
アニメ序盤から、富樫と竹島、黒田の間には妙な緊張感がありました。
さらに富樫は福田とも親しげで、単なる一般入団の選手とは違う背景を感じさせています。
20話でジュニアユース時代が描かれたことで、それらの違和感が一本の線になりました。
富樫はただの「不良っぽい選手」ではありません。
むしろ誰よりも勝敗に対して純粋で、その純粋さゆえに育成組織特有の合理性を許せなかった人物だったわけです。
少年時代の描写ではキャストにも変化があり、富樫の少年時代は小松未可子さん、竹島の少年時代は村中知さんが担当しています。
一方、黒田役の堀江瞬さんは少年時代も続投。
こうした声の違いも含めて、過去と現在の距離が描かれていました。
とくに黒田は普段、感情を大きく表に出すタイプではありません。
だからこそ過去の衝突で見せる怒りは、「富樫の言葉がそれだけ彼らの核心に触れた」という証拠にも見えます。
ここで僕が気になるのは、富樫が批判したのが「技術」ではなかったことです。
昇格組が下手だから怒ったわけではない。
むしろ上手い。
だからこそ、その能力を持ちながら目の前の勝負にすべてを賭けない姿勢が、富樫には許せなかった。
この構造が、アシトという選手の現在地と不気味なほど重なります。

【考察】アオアシ20話はアシトの「個人の成長」から「チームを見る成長」への転機
ネットでは20話について、富樫と竹島の過去が明らかになる「因縁の説明回」と捉えられがちです。
もちろん、それは間違いではありません。
ただ僕は、もう一段深い役割があると思っています。
これはアシトの視野が、ピッチだけではなく人間関係にまで広がったことを示す回なのではないでしょうか。
注目したいのは、喧嘩を知ったアシトの行動です。
以前のアシトなら、自分の課題で頭がいっぱいになっていてもおかしくありません。
ディフェンダーへの転向後は覚えることだらけで、技術的にも完成にはほど遠い状態です。
それなのに今回は、竹島と富樫の問題を「二人の勝手な事情」と切り離さず、自分たちの試合に関わる問題として理解しようとする。
そして真っ先に朝利へ聞きに行く。
これ、何気ない行動に見えてかなり重要なんじゃないか。
アシトはこれまで、ピッチの中で「周囲を見ること」を覚えてきました。
味方の位置。
相手の位置。
スペース。
次に起きるプレー。
しかしサッカーで見るべきものは、選手の位置だけではない。
その選手が何を考え、何を怖がり、何を譲れないと思っているのか。
20話でアシトが覗き込んだのは、初めて「仲間の内側」だったように思えます。
もしこの解釈が正しいなら、アシトの成長は単なる視野能力の向上ではありません。
「フィールドを俯瞰する選手」から、「チームそのものを俯瞰できる選手」へ変わり始めている。
これ、とんでもなく重要な転換ではないでしょうか。
さらに面白いのが、富樫と昇格組の対立です。
表面的には「勝利至上主義の富樫」と「プロになるために合理的にプレーする昇格組」の衝突に見えます。
でも本当に描かれているのは、もっと根深い問題だと思います。
それは、強さとは何かという問いです。
技術が高いことなのか。
将来を見据えて冷静にプレーできることなのか。
それとも、目の前の一球に身体を投げ出せることなのか。
アシトはまだ、その答えを持っていません。
だからこそ20話で富樫の価値観に触れる意味があります。
アシト自身、技術だけを比較すればエスペリオンではまだ「弱い側」です。
しかし勝利への執着では引かない。
つまり富樫の存在によってアシトは、「自分にはまだ足りないもの」だけではなく、すでに自分が持っている武器にも気づき始めるわけです。
ここが20話タイトル「本当に弱い奴は」にもつながっているように感じます。
技術が足りない者が弱いとは限らない。
能力が高い者が強いとも限らない。
怖さを知ったうえで、それでも勝負へ踏み込めるのか。
そんな価値観を武蔵野戦直前に提示している。
そしてさらに恐ろしいのは、次の相手が「負けなし」の武蔵野だということです。
つまり作者は、強さについて散々議論させた直後に、「では実際に強いチームを相手に、その答えを証明してみろ」と選手たちをピッチへ送り出す。
いや、この構成はずるい。
思想を語った直後に試合で答え合わせをさせるんですから。
『アオアシ』がサッカー漫画として面白い理由は、戦術の細かさだけではありません。
技術、精神、育成環境、人間関係といった別々の問題を、一つの試合の中へ収束させていく設計にあるのだと思います。
20話はその意味で、武蔵野戦の「前日譚」ではありません。
すでに武蔵野戦の一部です。
ボールが動き始める前に、選手たちが何を背負ってピッチへ立つのかを描く。
だから次の試合でアシト、橘、富樫、竹島が見せる一つ一つのプレーに、それぞれ別の意味が乗ってくるのです。
まとめ|アオアシ20話は武蔵野戦前の重要な転機
『アオアシ』20話「本当に弱い奴は」では、富樫と竹島たちのジュニアユース時代が明かされ、長く続いていた確執の理由が判明しました。
富樫は目の前の勝利への執着を重視し、竹島や黒田たち昇格組はプロになるための育成という視点を持っている。どちらかを単純に正解とするのではなく、異なる価値観を同じチームに共存させている点が、この回の面白さです。
そしてアシトも、その対立を知ることで「上手いか下手か」だけでは測れない強さへ意識を向け始めました。
僕は20話を、アシトが自分自身の成長だけを追う段階から、仲間やチーム全体を見る段階へ移り始めた転機だと考えています。
負けなしの武蔵野を前に、橘は完全復活できるのか。
技術面で発展途上のアシトは、自分の強みを試合で示せるのか。
そして富樫と竹島は、価値観の違いを抱えたまま同じゴールを守れるのか。
20話で積み重ねられたものは、すべて次の武蔵野戦へ向かっています。
だからこそこの回は、試合のない「つなぎ回」ではありません。
むしろボールが蹴られる前に、勝負の意味を決めてしまった回なのだと思います。
よくある質問
アオアシ20話のタイトルは?
第20話のタイトルは「本当に弱い奴は」です。
武蔵野戦を控える中で、富樫とジュニアユース昇格組の価値観の違いが明かされ、「選手としての本当の強さとは何か」が大きなテーマとして浮かび上がります。
富樫と竹島はなぜ仲が悪い?
原因はジュニアユース時代までさかのぼります。
練習生として参加した富樫が、目の前の勝利より将来のプロ入りを意識するジュニアユース組の姿勢に反発し、その考え方を巡って竹島や黒田たちと衝突したことが現在まで尾を引いています。
アオアシ20話の次は何の試合?
20話の次から本格的に描かれるのが、東京武蔵野蹴球団ユースとの一戦です。
負けなしの武蔵野を相手に、橘の精神状態、アシトの成長、富樫と竹島の確執など、20話まで積み上げてきた問題が試合の中で問われていくことになります。
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