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サムライトルーパーは何のパクリ?似ている作品との共通点と違いを検証

星を思わせる聖衣風の戦士と和風の鎧武者を左右に配置し、中央に大きな疑問符を浮かべた比較イメージ サムライトルーパー
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『鎧伝サムライトルーパー』は『聖闘士星矢』の影響を受けた企画ですが、盗用と断定できる根拠は確認できません。

むしろ調べるほど興味深いのは、両作が似た「鎧をまとう少年」という入口から、まったく違う場所へ踏み込んでいったことです。とくに『サムライトルーパー』の鎧は、強さの象徴である以上に、人間の心によって善にも悪にも変わる危うい力として描かれていました。


サムライトルーパーと聖闘士星矢はどちらが先?放送時期を比較

結論から言えば、テレビアニメとして先に放送されたのは『聖闘士星矢』です。

東映アニメーション公式情報によれば『聖闘士星矢』は1986年10月11日に放送開始。一方、サンライズ公式情報では『鎧伝サムライトルーパー』の放送開始は1988年4月30日となっています。約1年半、『聖闘士星矢』の方が先です。

まず、この時間関係は押さえておかなければなりません。

比較項目 聖闘士星矢 鎧伝サムライトルーパー
TVアニメ放送開始 1986年10月11日 1988年4月30日
TVシリーズ話数 全114話 全39話
アニメ制作 東映アニメーション サンライズ
原作・原案 車田正美 矢立肇
主な装備 聖衣(クロス) 鎧擬亜(ヨロイギア)
主な世界観 星座・ギリシャ神話・アテナ 武者・妖邪・日本的な精神性

『聖闘士星矢』は車田正美さんの漫画を原作とし、森下孝三さんがシリーズディレクター、荒木伸吾さん・姫野美智さんがキャラクターデザインを担当しました。

対して『サムライトルーパー』は矢立肇原作で、前半を池田成さん、後半を浜津守さんが監督。キャラクターデザイン・チーフ作画監督は塩山紀生さん、鎧デザインは岡本英郎さん、前半のシリーズ構成は高橋良輔さんです。

つまり、放送時期だけでなく制作会社や主要スタッフも別です。

「後から始まったからパクリ」というだけでは、作品間の関係を説明したことにはなりません。

問題はむしろ、『聖闘士星矢』の成功が『サムライトルーパー』の企画に影響したのかです。

ここについては、かなり重要な証言が残っています。



サムライトルーパーは聖闘士星矢の影響を受けた?制作関係者の証言

結論から言えば、『聖闘士星矢』のヒットが『サムライトルーパー』企画の出発点の一つになったことは、制作関係者自身が明かしています。

これは単なるファンの推測ではありません。

2022年にサンライズワールドが公開したインタビューで、サンライズの企画作業に参加していた塚田廷式さんは、『サムライトルーパー』放送前年の年末に『聖闘士星矢』が大ヒットし、玩具「聖闘士聖衣」が非常によく売れていたと振り返っています。

さらにスポンサーのタカラから「『聖闘士星矢』のような感じのものをやりたい」という要望があり、それに応える形で「鎧のように装着する」アイデアを複数提出した、と説明しています。

ここはかなり重要です。

「似ている気がする」どころではない。

少なくとも商品企画・スポンサー側の要求という段階では、『聖闘士星矢』の成功が明確に意識されていたわけです。

だから僕は、「サムライトルーパーは星矢と無関係に偶然似ただけ」と説明するのも正確ではないと思います。

一方で、影響を受けたことと、作品をそのままコピーしたことは同じではありません。

ここを混同すると、一気に話が雑になる。

さらに面白い証言があります。

鎧デザインを担当した岡本英郎さんは2017年のインタビューで、初期に自身が考えていた『サムライトルーパー』は、現在の作品像とはかなり違っていたと説明しています。

岡本さんによれば、当初から「美少年5人」が決まっていたわけではなく、商品を決める段階で「少年にする」という方向が示されたとのこと。本人が初期に思い描いていたものについては、現代作品に例えるなら『戦国BASARA』に近かったとも語っています。

ここから見えてくるのは、一枚岩ではない企画形成です。

スポンサー側には『聖闘士星矢』級の装着玩具作品を求める思惑がある。

しかしデザイナー側では別の「武者もの」のイメージが動いている。

その二つが混ざった結果として、僕たちが知る『鎧伝サムライトルーパー』が形になっていった。

……この成立過程、かなり面白いですよね。

「星矢をコピーして侍に変えました」という一直線の話ではないんです。

※画像はAIによるイメージ


聖闘士星矢とサムライトルーパーの共通点と違いは?

もっとも大きな共通点は、若い男性キャラクターと専用装着鎧を一体化させたヒーロー構造です。

これは視覚的に非常に強い。

誰がどの鎧を着るのか。

どの色なのか。

どんな武器を使うのか。

キャラクター本人への愛着と装備への憧れが、そのまま重なります。

『聖闘士星矢』では星矢たちが星座に対応する聖衣をまとい、小宇宙を燃やして戦います。公式の作品紹介でも、星矢が厳しい修行を経てペガサスの聖衣を手に入れ、聖闘士として戦う物語であることが示されています。

『サムライトルーパー』でも、烈火のリョウ、水滸のシン、天空のトウマ、金剛のシュウ、光輪のセイジという五人が、それぞれ固有の鎧擬亜をまといます。

数秒の映像だけ見れば、似ていると感じるのは当然でしょう。

若い戦士。

色分け。

専用装備。

装着による戦闘形態の完成。

『聖闘士星矢』の成功後にスポンサーから似た方向の商品企画が求められたという証言まで考えれば、視覚的共通点を偶然と片づける方が無理があります。

ただし、ここから先で作品はかなり分岐します。

『聖闘士星矢』の基盤にあるのは星座、ギリシャ神話、女神アテナ、聖域、そして小宇宙です。

一方の『サムライトルーパー』では、新宿へ妖邪帝王・阿羅醐の城が現れ、武者鎧を思わせる鎧擬亜をまとった少年たちが妖邪と戦います。公式設定でも五人は「サムライトルーパー」と呼ばれ、戦国の世から妖邪と戦ってきた迦雄須の導きを受けています。

星座を背負った戦士から、武者の名と心を背負う少年へ。

同じ「装着型ヒーロー」という骨格でも、漂っている文化の匂いがまるで違う。

そして僕が一番重要だと思うのは、鎧と人間の「関係」です。


サムライトルーパー独自の特徴は「鎧が善にも悪にもなる」こと

ネットでは『サムライトルーパー』を「聖闘士星矢の和風版」と説明することがあります。

でも、それだけでは決定的に足りません。

なぜなら『サムライトルーパー』では、鎧そのものに善悪が固定されていないからです。

TVシリーズ第15話「カオス、宿命の対決」で迦雄須は、鎧には善にも悪にもなり得る大きな力があり、正しい心を持ち続ければ善に、妖邪に支配されれば悪になることを明かします。

しかも敵である四魔将の鎧も、もともとはサムライトルーパーたちと同系統の鎧でした。

これ、かなり怖い設定なんですよ。

正義のヒーローだから正義の鎧を与えられるのではない。

同じ力が、持ち主の心によって正義にも災厄にも変わる。

第19話では、その構造がさらに明確になります。

阿羅醐の鎧はかつて九つに分けられ、それぞれに「仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌・忍」という心が込められました。そのうち五つがサムライトルーパーの鎧となり、四つは戦乱の中で再び妖邪の力を取り戻したと説明されます。

つまり戦っている五人と四魔将は、構造上ほとんど鏡像なんです。

正義と悪が別々の場所からやって来たのではない。

同じ九つの鎧が、人間の心と歴史の中で分かれてしまった。

ここまで来ると、「色違いの鎧を着た美少年」という共通点だけで『聖闘士星矢』と同一視するのは難しくなります。

『サムライトルーパー』が執拗に見つめているのは、「どれほど強い力を持っているか」だけではありません。

その力に対して、どんな心で向き合うのか。

烈火のリョウの鎧に込められた心が「仁」、金剛のシュウなら「義」、天空のトウマなら「智」と設定されているのも、その思想をかなり露骨に表しています。

鎧は身体能力を上げる外骨格であると同時に、その人間の内面を外へ露出させる装置でもある。

僕にはそう見えるんです。


輝煌帝から考察する「強すぎる力」の怖さ

ここからは筆者としての考察です。

以前から『サムライトルーパー』には、単なるパワーアップ作品とは違う不穏さがあると感じていました。

ただ、その根拠を「なんとなく変身が苦しそうだった」という記憶だけに置く必要はありません。

作品を確認すると、もっと露骨な描写があります。

第31話「伝説の鎧、輝煌帝」では、遼が輝煌帝を発動する際、捕らわれた仲間たちから力を受け取れば彼らの命すら危険になる可能性が示されます。

しかも敵側からは、輝煌帝は使い方によって世界を破滅させるほどの力を持つと説明されます。

さらに第33話では、輝煌帝の必殺技・閃煌斬が妖邪界を突き抜け、人間界にまで届き、その力によって人々が混乱する事態が起きています。

つまりこれは、「最強フォームを手に入れました。よかったね」で済む力ではありません。

強すぎる。

味方を巻き込むかもしれない。

世界そのものへ影響してしまうかもしれない。

その力を、それでも使わなければならない。

ここで僕は、『サムライトルーパー』という作品が急に別の顔を見せるように感じます。

単なる少年向け装着ヒーローに見えるのに、内側ではずっと「力を持つ資格」の話をしているんじゃないか。

そして、この仮説をさらに強くするのがOVA『輝煌帝伝説』です。

そこでは白い輝煌帝だけでなく黒い輝煌帝が登場し、その鎧をまとったムカラは、鎧に操られるように白い輝煌帝との戦いを求め続けます。公式の作品紹介でも、黒い輝煌帝の鎧に操られ、戦いを求めるムカラという構図が明記されています。

さらに第1話では、水滸のシン自身が「鎧の戦い」へ疑問を抱いているため、五人の心が揃わず白い輝煌帝を呼び出せません。

これ、めちゃくちゃ重要なんです。

最強の鎧を発動する条件が、単純な戦闘力ではない。

全員の心が同じ方向を向いていなければならない。

逆に言えば、どれだけ強い鎧が目の前にあっても、心が割れていれば使えない。

※画像はAIによるイメージ

一般論では「輝煌帝=主人公の最強フォーム」と整理されがちです。

でも、僕は逆だと思います。

輝煌帝とは最強だから価値がある鎧ではなく、「最強の力を使う人間に何が必要なのか」を試すための鎧だったのではないでしょうか。

通常の鎧でさえ、人の心次第で善にも悪にもなる。

その世界で、さらに世界を壊し得るほどの力が登場する。

ならば必要になるのは、もっと大きな攻撃力ではありません。

その力を使っても自分を失わない心です。

ここで「仁・義・礼・智・信」という設定が、ただの和風フレーバーではなくなってくる。

心が力を制御する。

力が心を証明する。

そして心を失えば、同じ鎧が敵になる。

……いや、この構造まで『聖闘士星矢』の表面的な成功から生まれた企画の中に埋め込んだのだとしたら、かなり凄い。

『聖闘士星矢』のヒットから「少年+装着鎧」という商業的な着想を受け取った。

しかし『サムライトルーパー』は、そこへ日本的な武者意匠と「心」の体系を流し込み、ついには「力を持つ者の倫理」という物語へ変えてしまった。

僕にはそう見えます。


「パクリ」ではなく影響から独自作品へ変化したと考える理由

では結局、「サムライトルーパーは聖闘士星矢のパクリなのか」。

僕の答えは少し複雑です。

『聖闘士星矢』のヒットが企画へ影響したことは、制作関係者の証言からかなり明確です。

だから「まったく関係ない」という説明はできません。

スポンサー側から『聖闘士星矢』のような商品展開を意識した要求があり、装着型の鎧という発想が検討された。

ここは事実として認めるべきでしょう。

ただし、そこから「だから盗作だ」と飛躍することもできません。

作品を作った会社も主要スタッフも異なり、世界観、鎧の由来、キャラクター設定、敵との関係、物語が問いかけるテーマも別方向へ構築されています。

さらに鎧デザイナーの岡本英郎さん自身が、企画初期には現在の「美少年5人」という形すら確定していなかったと振り返っています。

僕はここに、創作における「影響」の面白さを感じます。

ヒット作が生まれれば、似た商品形式やジャンルを別会社が研究する。

これはアニメに限らず、娯楽産業では繰り返されてきたことです。

重要なのは、その出発点から何を作ったかでしょう。

『サムライトルーパー』は「少年が鎧を装着して戦う」という強烈な型を受け取りながら、それを武者、妖邪、仁義礼智信、そして善にも悪にも変わる鎧という設定へ変換しました。

とくに僕が忘れられないのは、第15話で明かされる「敵の鎧も味方と同じものだった」という事実です。

普通なら、正義の鎧と悪の鎧を最初から別物にした方が分かりやすい。

でも、そうしなかった。

同じ力から正義と悪の両方が生まれる。

この一点だけでも、『サムライトルーパー』が最終的に向かった場所は、単純な「和風の聖闘士星矢」では説明できません。

似ている。

影響も受けている。

でも、それで終わらない。

むしろ似た入口からどこまで遠くへ行けるかというところに、この作品の面白さがあるのだと思います。



まとめ:サムライトルーパーは聖闘士星矢を意識した企画だが単純なコピーではない

『聖闘士星矢』は1986年10月、『鎧伝サムライトルーパー』は1988年4月にテレビ放送が始まっており、『聖闘士星矢』が先です。

さらにサンライズの制作関係者は、『聖闘士星矢』と関連玩具のヒットを受け、スポンサーから同作のような方向性を求められたことを明かしています。

したがって、『サムライトルーパー』が『聖闘士星矢』の影響を受けて企画された部分があること自体は、単なる憶測ではありません。

しかし作品として完成した『サムライトルーパー』には、武者を基調とした世界観、「仁・義・礼・智・信」など人の心と結びついた鎧、同じ鎧が善にも悪にもなり得る設定、そして輝煌帝という強すぎる力への警戒があります。

僕には、ここが決定的な違いに見えます。

ヒット作の型を受け継ぐことと、その型の中で同じ物語を語ることは別です。

『鎧伝サムライトルーパー』は『聖闘士星矢』に似ている。

そして実際に、その成功を意識した企画でもあった。

それでも三十年以上たった今、「サムライトルーパー」という固有名で語り続けられている理由は、鎧の形ではなく、その内側にまったく別の「心」を入れたからではないでしょうか。



よくある質問

サムライトルーパーと聖闘士星矢はどちらが先ですか?

『聖闘士星矢』が先です。

テレビアニメ『聖闘士星矢』は1986年10月11日、『鎧伝サムライトルーパー』は1988年4月30日に放送を開始しました。

制作側が聖闘士星矢の影響を認めたことはありますか?

サンライズの企画作業に参加した塚田廷式さんは、『聖闘士星矢』と関連玩具のヒットを受け、スポンサーのタカラから同作のような方向性を求められたと振り返っています。

ただし、これは企画上の影響を示す証言であって、「盗作だった」と認めたものではありません。

サムライトルーパー独自の特徴は何ですか?

とくに大きいのは、鎧が人間の「心」と結びついていることです。

第15話では同じ鎧が持ち主の心によって善にも悪にもなり得ることが明かされ、第19話では九つの鎧に「仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌・忍」の心が込められた経緯が描かれています。

執筆:相沢 透(あいざわ)

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