PR

『サイバーパンク エッジランナーズ』全10話のあらすじ!物語の流れを解説

記事内に広告が含まれています。

『サイバーパンク エッジランナーズ』全10話は、母を失った少年デイビッドが傭兵となり、仲間との出会いを経て、愛する人の夢を守るために戦う物語です。

2022年9月13日にNetflixで配信された本作は、ゲーム『サイバーパンク2077』の世界を舞台にした全10話のオリジナルアニメ。第1話から最終話までのあらすじを、人物関係や重要な伏線とともに振り返ります。

※この記事には第1話から第10話までの結末を含むネタバレがあります。


『サイバーパンク エッジランナーズ』第1〜3話のあらすじは?デイビッドが裏社会へ進むまで

物語の前半では、アラサカアカデミーに通う少年デイビッド・マルティネスが、母親の死をきっかけに、それまでとは正反対の人生を歩み始めます。

舞台は、巨大企業が社会を支配する未来都市ナイトシティ。

身体を機械化する技術が発達した世界ですが、その恩恵は誰にでも平等に与えられるわけではありません。

むしろ、富裕層と貧困層の格差は極端なほど大きく、命さえも経済力によって扱いが変わります。

この冷酷な都市の仕組みが、デイビッドの運命を決定づけていくのです。

第1話「Let You Down/期待を背に」母グロリアの死とサンデヴィスタン

デイビッドは、母グロリア・マルティネスと二人で暮らす学生です。

優秀な成績を収めながらも、裕福な家庭の子どもが集まるアラサカアカデミーでは、経済的な事情から浮いた存在になっていました。

母グロリアは救急救命士として働き、息子を大企業のエリートに育てるために高額な学費を支払っています。

しかし生活は苦しく、家賃や設備の利用料金も滞納する状態でした。

そんなある日、デイビッドとグロリアは帰宅途中にギャング同士の抗争に巻き込まれます。

車は事故を起こし、二人は負傷。

現場には高度な救急医療を提供するトラウマ・チームが現れますが、契約対象ではない親子を救助せず、その場を去ってしまいます。

グロリアは病院に搬送され、一度は命を取り留めたものの、容体が急変して亡くなりました。

残されたデイビッドに突きつけられるのは、治療費や葬儀費用の請求です。

母親の遺灰が入った粗末な容器を手に帰宅する場面は、ナイトシティの非情さを象徴しています。

さらに、デイビッドは母の遺品から軍用のサイバーウェア「サンデヴィスタン」を発見します。

母は救急救命士として働く一方、亡くなった患者のサイバーウェアを闇市場に流し、学費を工面していたのでした。

サンデヴィスタンは、使用者の反応速度を飛躍的に高める強力な装置です。

しかし身体への負荷が大きく、精神に異常をきたす危険もあります。

すべてを失ったデイビッドは、知り合いのリパードクに依頼し、この軍用品を自分の身体に取り付けます。

母が望んだエリートへの道ではなく、母が残した危険な装置を使う道を選んだのです。

僕には、この選択が単純な反抗には見えません。

彼は母の夢を捨てたのではなく、母の死を無意味にしたくなかったのではないでしょうか。

第2話「Like A Boy/少年は何を思う」ルーシーとの出会い

サンデヴィスタンを装着したデイビッドは、これまで自分を見下していた同級生カツオ・タナカに反撃します。

高速移動によって相手を圧倒しますが、騒動の結果、アカデミーを退学することになりました。

一方、カツオの父でアラサカ社の重役であるタナカは、デイビッドが軍用サンデヴィスタンを使いこなしていることに興味を示します。

この時点で、デイビッドは本人の知らないところで企業の監視対象になり始めていました。

その後、デイビッドは電車内で他人のデータを盗む少女ルーシーと出会います。

ルーシーはネットランナーと呼ばれる、電子ネットワークへの侵入を得意とする人物です。

二人は協力して仕事をしますが、デイビッドはサンデヴィスタンの使いすぎによって倒れてしまいます。

リパードクは彼の異常な適性を認めながらも、使用を控えるよう警告しました。

やがてルーシーは、自分の夢が月へ行くことだと打ち明けます。

二人はブレインダンスと呼ばれる疑似体験技術で、月面にいるような時間を共有します。

ところが、その体験はデイビッドを別のエッジランナー集団へ引き渡すための仕掛けでもありました。

ルーシーへの信頼が芽生えた直後に裏切られる。

この危うい距離感こそ、二人の関係の出発点です。

第3話「Smooth Criminal/裏稼業」メインのチームに加入

デイビッドを待っていたのは、屈強なエッジランナーのメインと、その仲間たちでした。

メインは、デイビッドの母グロリアからサンデヴィスタンを買い取る予定だった人物です。

本来なら自分のものになるはずだった装置をデイビッドが使用していることに、当初は怒りを見せます。

しかし事情を知ると、デイビッドに仕事を通じて能力を証明する機会を与えました。

チームには、メインの恋人ドリオ、ネットランナーのキーウィ、技術担当のピラル、その妹レベッカ、運転手のファルコ、そしてルーシーがいます。

デイビッドは、アラサカ重役タナカの行動情報を入手する仕事に参加。

作戦中にトラブルが起きますが、サンデヴィスタンを活用し、ルーシーとともに危機を脱します。

その働きを認めたメインは、デイビッドを正式に仲間へ迎え入れました。

同じ頃、アラサカアカデミーから復学の話が持ちかけられますが、デイビッドは断ります。

これで彼は、母が望んだ企業社会の道から完全に離れました。

ただし、ここで重要なのは、彼が自由を手に入れたように見えることです。

企業の管理から逃れたはずの少年が、別の形で企業の思惑に巻き込まれていく。その皮肉が、すでに物語の奥底で動き始めています。



第4〜6話のあらすじは?ルーシーとの約束とメインの悲劇

第4話から第6話では、デイビッドがエッジランナーとして成長し、ルーシーとの関係を深めます。

しかし、チームの中心人物メインに起きる異変によって、物語の雰囲気は一変します。

ここから描かれるのは、強さを手に入れることと、人間らしさを失わずにいることの難しさです。

第4話「Lucky You/ツキが回って」月への約束が生まれる

デイビッドは一人前になるため、チームの仲間からさまざまな技術を学びます。

レベッカからは銃の扱いを、ドリオからは戦闘を、メインからは仕事の進め方を教わります。

ルーシーとも行動を共にする時間が増え、二人の距離は少しずつ縮まっていきました。

しかし、ある夜に悲劇が起こります。

チームの一員であるピラルが、路上で遭遇したサイバーサイコに命を奪われたのです。

サイバーサイコとは、過度な身体改造などの影響で精神の安定を失い、周囲に危険を及ぼす状態に陥った人物を指します。

デイビッドたちは協力して危機を切り抜けますが、仲間の死を防ぐことはできませんでした。

その後、デイビッドとルーシーは互いの気持ちを確かめ合います。

ルーシーは月へ行きたいという夢が本心だったことを伝え、デイビッドは彼女を月へ連れて行くと約束しました。

二人がキスを交わす場面は、前半の大きな転換点です。

それまでデイビッドは、母の期待に応えるために生きてきました。

しかし今度は、自分の意思で誰かの願いを叶えようとします。

母の夢からルーシーの夢へ。

この瞬間、彼の人生を動かす目的が変わったのだと思います。

第5話「All Eyez On Me/刺さる目線」タナカ誘拐作戦

メインたちは、アラサカ社の重役タナカから重要な情報を手に入れようとします。

作戦を進めるなかで、タナカが特殊なブレインダンスを利用していることが判明しました。

その制作に関わるのが、著名なブレインダンス制作者ジミー・クロサキ、通称JKです。

チームはJKを利用してタナカへ接近しようとしますが、作戦は思いどおりに進みません。

逆にデイビッドが捕らえられ、精神的な負担を伴うブレインダンスを体験させられてしまいます。

そこで突きつけられるのが、サイバーウェアを過剰に使用した人間の末路です。

デイビッドは通常の人間より高い適性を持っていますが、だからといって危険から完全に自由なわけではありません。

JKはその点を警告します。

最終的にチームはタナカの確保に成功するものの、デイビッドの心には不安が残りました。

注目したいのは、彼が警告を受けても、自分の進む道を根本から変えようとしないことです。

強さは彼にとって、仲間と対等に立ち、ルーシーを守るための手段になっていました。

だからこそ、その手段を手放せないのでしょう。

第6話「Girl on Fire/炎に包まれて」メインとドリオの最期

第6話は、全10話のなかでも重要な分岐点です。

タナカから情報を抽出する作戦の最中、メインの精神状態が悪化します。

長年にわたって大量のサイバーウェアを装着してきた彼は、すでに深刻な負荷を抱えていました。

身体改造を減らす選択肢もありましたが、メインは手に入れた力を失いたくないため、それを拒んでいたのです。

作戦中、彼は正常な判断が難しくなり、キーウィを負傷させてしまいます。

代わりにタナカへ接続したルーシーは、内部に隠された情報を発見します。

しかし、タナカの死亡によって事態は急変。

警察や特殊部隊が迫り、チームは追い詰められます。

そして、メインはついにサイバーサイコシスの影響で制御を失い、混乱のなかでドリオも命を落とします。

自分が何をしてしまったのかを理解したメインは、デイビッドを逃がすために、その場に残ることを選びました。

デイビッドは生き延びますが、尊敬していたリーダーと、その恋人を同時に失います。

この場面で胸に残るのは、メインが最後まで「強い男」であろうとしたことです。

彼にとってサイバーウェアを外すことは、戦う自分を否定する行為だったのかもしれません。

しかし、力を手放せなかったことが、結果的に大切な人を失う原因にもなりました。

そして恐ろしいことに、デイビッドはこの悲劇から距離を置くのではなく、メインの遺した道を引き継いでいきます。

ここで物語は、師匠の死を乗り越える成長譚から、同じ悲劇を繰り返しかねない少年の物語へと変わります。




第7〜10話のあらすじは?デイビッドの最期とルーシーの月への旅

第7話以降では、時間が経過し、デイビッドはチームを率いる有名なエッジランナーに成長しています。

しかし、強力なサイバーウェアを次々に装着した身体には、確実に限界が近づいていました。

さらに、アラサカとミリテクという巨大企業の対立に巻き込まれ、ルーシーの隠された過去も明らかになります。

第7話「Stronger/もっと強く」メインの後継者となったデイビッド

メインの死から数か月が経ち、デイビッドは見違えるほど逞しい姿になっていました。

大量のサイバーウェアを装着し、メインが使用していた腕の装備も受け継いでいます。

かつての頼りない学生は、チームを率いるリーダーとなりました。

一方、ルーシーはデイビッドとの関係を続けながらも、エッジランナーとしての仕事から距離を置いています。

その背景には、彼女がアラサカで経験した過去がありました。

ルーシーは幼い頃からアラサカのネットランナー養成施設で育てられ、危険なネットワークへの潜入任務に従事していました。

多くの仲間を失った末に施設を脱走し、ナイトシティへ逃れてきたのです。

彼女が月に憧れる理由も、ここで重みを増します。

それは単なる観光への憧れではなく、アラサカの支配が及ばない場所へ逃れたいという願いでもありました。

同じ頃、フィクサーのファラデーは、デイビッドに新しい仕事を持ちかけます。

その背後には、アラサカと競合企業ミリテクの利害が絡んでいました。

さらにルーシーは、アラサカがデイビッドを特別な実験対象として注目していることを知り、彼を守るため密かに動き始めます。

デイビッドには、その行動の理由が見えていません。

互いを守ろうとする二人の間に、少しずつ秘密が増えていくのです。

第8話「Stay/いかないで」サイバーサイコシスの兆候

デイビッドは、ファラデーから受けた仕事を進めるなかで、精神状態が不安定になっていきます。

戦闘中には現実の認識が揺らぎ、判断を誤るような場面も現れました。

大量のサイバーウェアを使用し続けた影響が、ついに表面化し始めたのです。

ルーシーやレベッカは彼を心配し、身体改造を控えるよう促します。

リパードクも危険性を警告しますが、デイビッドは忠告を受け入れません。

彼は、自分には特別な適性があると信じていました。

一方、ファラデーはアラサカとミリテクの間で立場を失い、アラサカ側へ接近します。

そしてデイビッドを守るために行動していたルーシーは、キーウィの裏切りによって捕らえられてしまいました。

ここで、物語は一気に最終局面へ向かいます。

デイビッドはルーシーを守るために強くなろうとし、ルーシーはデイビッドを守るために危険を冒す。

二人の目的は同じなのに、その行動が互いを孤立させてしまうのです。

第9話「Humanity/人間らしさ」サイバースケルトン装着の罠

捕らえられたルーシーの行動から、アラサカが隠していた計画が明らかになります。

アラサカは、強力な実験用サイバーウェア「サイバースケルトン」を開発していました。

デイビッドの高いサイバーウェア適性は、その実験に利用できるものだったのです。

ルーシーは以前、タナカのデータからこの計画を知り、デイビッドに関する情報を消去していました。

さらに情報を復元しようとするアラサカのネットランナーを阻止し続けていたのです。

つまり、彼女がチームから離れた理由は、デイビッドを危険から遠ざけるためでした。

しかし、その秘密をファラデーたちに知られ、逆に利用されてしまいます。

ファラデーはデイビッドたちに、サイバースケルトンを運搬する車列を襲撃させます。

それは、デイビッドに実験用装備を装着させるための罠でした。

ルーシーが捕らえられたことを知ったデイビッドは、彼女を救うためサイバースケルトンを装着します。

その力は圧倒的ですが、身体への負荷も尋常ではありません。

もはや、デイビッドの肉体と精神は限界に近づいていました。

それでも彼は、レベッカやファルコとともにルーシーの救出へ向かいます。

第9話の副題は「Humanity/人間らしさ」。

皮肉にも、人間離れした力を手に入れたデイビッドが、最も人間的な願いのために戦う回です。

第10話「My Moon My Man/私の月、私の恋」デイビッドの最期

最終話では、デイビッドたちがルーシーを救出するため、ナイトシティへ戻ります。

サイバースケルトンの負荷によって精神が不安定になりながらも、デイビッドは企業側の戦力を突破していきます。

しかしアラサカは、圧倒的な戦闘能力を持つアダム・スマッシャーを投入しました。

全身を高度に機械化したスマッシャーは、デイビッドにとって最大の強敵です。

デイビッドはルーシーの救出に成功します。

彼女との再会は、精神が崩れかけていたデイビッドを一時的に正気へ引き戻しました。

しかし、スマッシャーとの戦闘で状況はさらに悪化します。

レベッカはスマッシャーによって命を落とし、ファラデーも破滅を迎えます。

デイビッドは、ファルコにルーシーを安全な場所へ連れて行くよう頼み、自分は敵を足止めするために残りました。

そしてアダム・スマッシャーとの戦いの末、デイビッドは死亡します。

デイビッドは最終話で生き残りません。ルーシーを逃がすために、自分の命を差し出したのです。

物語の最後、ルーシーはかつて二人で夢見た月へ向かいます。

実際に月面へ降り立った彼女は、かつてブレインダンスの中でデイビッドと過ごした時間を思い出します。

月へ来るという夢は叶いました。

しかし、その隣にデイビッドはいません。

挿入歌「I Really Want to Stay At Your House」が重なる終盤は、言葉だけでは説明できない余韻を残します。

最終話のタイトル「私の月、私の恋」は、ルーシーが手に入れたものと、失ったものを同時に表しているように感じます。

そして僕には、月面に立つルーシーの姿が、幸福と悲しみの両方を抱えているように見えるのです。



『サイバーパンク エッジランナーズ』全10話の結末をどう考える?夢と犠牲の物語

全10話を振り返ると、デイビッドの人生には一貫した特徴があります。

それは、自分自身の夢を明確に持つよりも、大切な誰かの夢を背負って生きてきたことです。

ネット上では、デイビッドの結末を「ルーシーを救うための自己犠牲」として語る見方もあります。

その解釈は間違っていないでしょう。

しかし僕は、もう一段深いところに、この物語の悲劇があると考えています。

デイビッドは、なぜ自分の幸せを後回しにし続けたのでしょうか。

母グロリアとメインがデイビッドに残したもの

第1話でグロリアがデイビッドに望んだのは、アラサカで成功する未来でした。

彼女は貧しい生活を送りながらも、息子だけは社会の上層へ到達してほしいと願っていたのです。

その母が亡くなり、デイビッドは彼女の残したサンデヴィスタンを装着しました。

さらに、第6話ではメインを失います。

そしてデイビッドは、メインの装備を受け継ぎ、エッジランナーとしての地位を高めました。

ここには共通した構造があります。

  • グロリアの死後、母の残したサンデヴィスタンを装着する
  • メインの死後、彼の装備とリーダーとしての役割を引き継ぐ
  • ルーシーを守るため、身体の限界を超える力を求める

どの出来事でも、デイビッドは大切な人の願いや役割を、自分の身体に引き受けています。

これは美しい献身であると同時に、極めて危うい生き方です。

なぜなら、誰かの期待を背負うことが、そのまま自分自身を傷つける理由にもなってしまうからです。

母親の願いを叶えられなかった少年は、今度こそ誰かの願いを叶えようとする。

そんな心理が、デイビッドの選択を支えていたのではないでしょうか。

サンデヴィスタンの能力が示す本当の悲劇

もう一つ注目したいのが、サンデヴィスタンという能力そのものです。

この装置を使うデイビッドは、周囲の世界が遅くなったような感覚の中で、高速移動できます。

敵が反応できないほど素早く動き、危険な状況を突破する。

しかし、物語の重要な局面では、その圧倒的な速度でも守れないものがありました。

母グロリアの命。

メインとドリオの未来。

そして、ルーシーと一緒に月へ行くという約束。

どれほど速く動けても、失われる命を止めることはできません。

僕はここに、作品全体を貫く皮肉があると感じています。

デイビッドは誰よりも速く動けるのに、破滅へ向かう自分自身を止められなかった。

サンデヴィスタンは、彼の特別さを象徴する能力です。

同時に、彼が自分の限界を見失う原因にもなっています。

しかも、彼には危険を回避する機会が何度も与えられていました。

リパードクの警告も、JKの言葉も、メインの最期も、すべてはサイバーウェアの負荷を軽視してはいけないという警告でした。

それでもデイビッドは、自分だけは大丈夫だと信じ続けます。

特別な力を持っていることと、その力を安全に使い続けられることは違う。

この当たり前の区別を受け入れられなかったところに、彼の未熟さがあったのかもしれません。

ルーシーの夢は本当に叶ったのか?

最終話の月面シーンについても、少し考えてみたいことがあります。

ルーシーは、確かに月へ到達しました。

物語の序盤から語られていた夢は、現実になったのです。

しかし彼女は、デイビッドを失っています。

ここで重要なのは、第2話と最終話の月面体験が対になっていることです。

第2話では、二人がブレインダンスによって月を体験しました。

実際には月へ行っていませんが、そこにはデイビッドがいました。

一方、最終話ではルーシーが本物の月面へ到達します。

しかし、隣にいるはずだったデイビッドはいません。

つまり、偽物の月には二人がいて、本物の月にはルーシーしかいないのです。

この対比は、作品の結末を考えるうえで非常に重要だと思います。

月へ行くこと自体が、ルーシーにとっての本当の幸福だったのでしょうか。

あるいは、デイビッドとともに自由な未来を手に入れることこそ、彼女が求めていたものだったのでしょうか。

僕は後者の意味が、物語が進むにつれて大きくなっていたと考えています。

ルーシーがアラサカから逃げ出したのは、誰かの都合で生き方を決められたくなかったからです。

そんな彼女が、デイビッドとの出会いによって、初めて自分以外の誰かと未来を共有しようとした。

ところがデイビッドは、彼女を守るために、自分の未来を犠牲にしてしまいました。

ここに、二人のすれ違いがあります。

ルーシーはデイビッドに生きていてほしかった。

デイビッドはルーシーに夢を叶えてほしかった。

どちらも相手の幸福を願っていたはずなのに、その願いが完全には重ならなかったのです。

だからこそ、最終話の月面には複雑な感情が漂います。

夢が叶ったという事実だけでは、そこにいるルーシーの孤独を説明できません。

ただ、僕はこの結末を、完全な絶望として片づけたくありません。

デイビッドが命を懸けて守ったルーシーは、少なくとも彼が望んだ場所へ到達しています。

彼女がこの先、どのような人生を歩むのかは、最終話で詳しく語られません。

だからこそ、月に立つ彼女の姿には、失われた未来だけでなく、これから続いていく時間も残されているように思えます。

なぜ全10話という短さで、これほど強い余韻を残すのか?

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、2022年9月13日にNetflixで配信された全10話の作品です。

監督は今石洋之、アニメーション制作はTRIGGER、製作はCD PROJEKT REDが担当しました。

原作ゲーム『サイバーパンク2077』と同じ世界を舞台にしながら、独立した物語として成立しています。

本作は批評面でも評価され、2023年のクランチロール・アニメアワードでは「アニメ・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

評価された理由を一つに絞ることはできませんが、僕は物語の展開と人物の変化が密接に結びついている点に注目しています。

第1〜3話では、デイビッドが居場所を失い、新しい仲間を得ます。

第4〜6話では、その居場所を大切に思うようになった直後に、仲間を失います。

第7〜10話では、失ったものを埋めようとするかのように力を求め、最後には自分自身を失います。

成長の物語と破滅の物語が、同じ一本の道として描かれているのです。

そして、この作品は強さを得ることそのものを否定しているわけではないと思います。

デイビッドの力がなければ、救えなかった仲間もいたでしょう。

問題は、力を得ることが目的になり、自分を守るという選択肢を失ってしまったことです。

メインは力を手放せず、デイビッドはメインの道を引き継ぎました。

二人の違いは能力の大きさではなく、守りたい相手と自分自身の限界に、どう向き合えたかという点にあるのかもしれません。

さらに、2026年10月20日には、独立した物語として『サイバーパンク エッジランナーズ2』の全10話がNetflixで配信されました。

新作では登場人物が一新され、別のエッジランナーたちの物語が描かれます。

つまり、デイビッドとルーシーの物語が、そのまま次のシーズンへ続く構成ではありません。

だからこそ、最初の全10話には、一つの物語として完結した重みがあります。

ナイトシティという都市は、デイビッドがいなくなっても何事もなかったように動き続けるでしょう。

それでも、ルーシーにとって彼の存在が消えることはありません。

都市にとっては数多くのエッジランナーの一人でも、誰かにとっては、たった一人のかけがえのない存在だった。

僕はこの対比が、本作の最も美しく、最も残酷なところだと思います。

よくある質問

#### 『サイバーパンク エッジランナーズ』は全何話ですか?

2022年に配信された第1シーズンは全10話です。2026年10月20日に配信された『エッジランナーズ2』も全10話ですが、登場人物を一新した別の物語です。

#### デイビッドは最終話で死亡したのですか?

はい。第10話でアダム・スマッシャーと戦い、ルーシーを逃がした後に死亡します。ゲーム『サイバーパンク2077』にも、彼が伝説的なエッジランナーとして名を残したことが分かる要素があります。

#### ルーシーは最後に月へ行けたのですか?

はい。最終話でルーシーは月へ到達し、かつてデイビッドと共有した夢を実現します。ただしデイビッドは同行しておらず、彼女がその後どのような人生を送るのかは詳しく描かれていません。

まとめ:デイビッドが全10話で残したもの

『サイバーパンク エッジランナーズ』全10話は、デイビッドが母グロリアを失い、メインのチームに加入し、ルーシーと出会い、最後には彼女を守るために命を落とす物語です。

第1〜3話では裏社会への転身、第4〜6話では仲間との絆とメインの悲劇、第7〜10話では企業の陰謀とデイビッドの最期が描かれました。

物語を振り返ると、デイビッドはいつも誰かの願いを背負っていました。

母の期待、メインから引き継いだ役割、そしてルーシーと交わした月への約束。

彼は、そのすべてを大切にしようとしました。

しかし、誰かを幸せにするためには、自分も生き続けなければならない。

そのことに気づくには、ナイトシティという街はあまりにも過酷だったのでしょう。

僕が最後まで忘れられないのは、アダム・スマッシャーとの戦いの迫力以上に、月面に立つルーシーの姿です。

あの場所に二人で立てていたなら、どんな言葉を交わしたのでしょうか。

第2話で共有した月の景色と、第10話で彼女が一人で見つめた景色。

二つの場面を重ねると、デイビッドが駆け抜けた短い人生の意味が、少し違って見えてきます。

たった10話で、ここまで月という存在の意味を変えてしまう。

これ、物語の組み立て方が本当に見事なんですよね。

そして何より切ないのは、デイビッド自身が最後まで、自分がルーシーにとってどれほど大切な存在だったのかを、十分には理解していなかったかもしれないことです。

ナイトシティに残された彼の名前と、月にたどり着いた彼女。

二人の物語は終わっても、あの約束の余韻は消えません。

相沢 透(あいざわ・とおる)

コメント

タイトルとURLをコピーしました