『日本三國』5巻では、平殿器が王位を得て大和の実権をさらに握り、三角青輝が4年ぶりに解放されることで物語が「平家追討」へ大きく動き始めます。
聖夷西征という巨大な戦いを終えた物語は、ここから単なる戦争漫画ではなく、「権力の内部に入り込んだ青輝がどう国を変えるのか」という政治劇へ。その最初の試金石となるのが、澄仁王の謀反と「笠置山の戦い」です。
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- 『日本三國』5巻ネタバレ|4年後の大和で平殿器が王位へ
- 『日本三國』5巻で三角青輝が4年ぶりに解放|平殿器の配下へ入る理由
- 『日本三國』5巻の重要人物・阿佐間芳経|青輝と4年半ぶりに再会
- 『日本三國』5巻「笠置山の戦い」ネタバレ|澄仁王の謀反はどうなる?
- 「アニメじゃ描ききれなかった“真実”を知りたくないですか?」
- 『日本三國』5巻の重要人物を整理|平殿器・青輝・芳経・澄仁王
- 『日本三國』5巻から始まる「平家追討」編は何が変わった?
- 『日本三國』5巻を読んで考察|青輝は平殿器を内側から倒すのか
- 『日本三國』5巻が面白い理由|戦争後の「権力」を描き始めた
- 『日本三國』5巻ネタバレまとめ|平家追討編の本当の始まり
- よくある質問
『日本三國』5巻ネタバレ|4年後の大和で平殿器が王位へ
『日本三國』5巻を開いて、まず驚かされるのが時間の経過です。
前巻までの「聖夷西征」から数年が過ぎ、大和歴64年。戦争が終わったからといって平和になったわけではなく、むしろ平殿器の権力は以前よりはるかに巨大になっています。
聖夷西征後、聖夷は「奥和」と改称され、大和国の影響下に置かれる傀儡国となりました。その成果を背景に、平の臣下は大和帝・藤3世へ、平殿器に「王位」を与えるよう求めます。
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ここで5巻が突きつけてくるのは、戦争に勝った者がそのまま国家の中心へ入り込んでいく怖さです。
軍事的成功という「実績」が政治的正当性へと変換され、いつの間にか権力そのものが制度として固定されていく。剣を振るう場面以上に、この手続きのほうが怖いんですよね。
当然、国民の側からは反対意見も出ます。
平殿器はそれに対し、自らが国と帝へ尽くしてきたにもかかわらず野心を疑うのなら、自分を撃てという趣旨の態度を見せ、懐から拳銃を取り出します。
言葉だけを切り取れば、自分の潔白を証明しようとしているようにも見える。
けれど、平の周囲には武力があります。
藤3世が銃を構えても、平の臣下である衛尉は刀に手をかける。そして平の容姿を批判した女性が、その場で斬首されるという決定的な出来事まで起きます。
つまり、藤3世に与えられていた「選択肢」は、最初からほとんど選択肢ではなかったわけです。
結果として藤3世は屈し、平殿器を王位に封じる勅命を出します。
ここは5巻の中でも、とくに重要な場面だと私は感じました。
なぜなら『日本三國』が描いているのは単純な「悪い権力者」ではなく、権威と暴力の境界が曖昧になり、制度が暴力を追認していく瞬間だからです。
皇帝という形式上の最高権力者が存在していても、実際に人を動かし、軍を握り、拒否した者を処分できる人物が別にいる。
その瞬間、肩書きだけの権力と、現実に機能する権力が分離します。
平殿器が怖いのは、反乱を起こして帝を倒すのではなく、帝そのものを残したまま、自分に都合のいい意思決定をさせるところでしょう。
表向きの秩序を壊さずに、中身だけを奪う。
この5巻から『日本三國』の政治劇が一段深くなったように感じる理由が、まさにここにあります。
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『日本三國』5巻で三角青輝が4年ぶりに解放|平殿器の配下へ入る理由
平殿器が権力を拡大する一方で、主人公・三角青輝にも大きな転機が訪れます。
前巻終盤では、聖夷の総帥・輪島桜虎が帰路で暗殺され、その事件をきっかけとして三角青輝と龍門光英は逮捕・投獄されていました。
そして5巻で描かれるのは、その約4年後です。
青輝は平殿器の判断によって禁を解かれ、再び政治と戦争の舞台へ戻ることになります。
理由は明快でした。
平殿器が次なる標的として東国の「武凰」を見据え、大和の総力を使って武王を滅ぼそうとしているからです。
戦争をするなら優秀な人材が要る。
そこで、かつて聖夷西征で能力を示した青輝が必要になった。
平にとって青輝は、危険人物であると同時に利用価値の高い軍師でもあるわけです。
そして何より衝撃なのが、解放された青輝が平殿器の配下に入ることです。
青輝にとって平殿器は、単なる上司候補ではありません。
妻を理不尽な形で失う原因となった、個人的にも絶対に忘れることのできない相手です。
普通の復讐物語なら、ここで主人公は刃を向けるでしょう。
しかし青輝は、目の前にいる仇への復讐を優先しません。
亡き妻と交わした「太平」への思いを胸に、自分自身の感情よりも「世を変えること」を選びます。
この選択が、私は5巻最大のポイントだと思っています。
だって、これは復讐を諦めたわけじゃないんです。
むしろ逆です。
青輝は「平殿器を殺せば終わる」という簡単な復讐から降りて、「平殿器が支配している世界そのものをどう変えるか」という、はるかに難しい道へ踏み込んだように見える。
そこが面白い。
平に反抗して地下へ潜るのではなく、平の組織に参加する。
外側から石を投げるのではなく、内側へ入って構造を見る。
これは主人公の成長であると同時に、『日本三國』という作品そのものの戦い方が変化した瞬間でもあります。

三角青輝が平殿器をすぐ討たない意味
第1話から青輝の人生を追ってきた読者ほど、この対面は複雑でしょう。
「あれだけのことをされた相手の前で、どうして冷静でいられるんだ」と思う。
私も読みながら、そこにかなり引っかかりました。
でも、その違和感こそ青輝の変化なのではないでしょうか。
初期の青輝にとって大きかったのは、自分が愛した人を奪われた怒りです。
しかし聖夷西征を経験し、国家同士の戦争と、その中で死んでいく無数の人間を見た後では、「自分の復讐だけを成し遂げればいい」という視点ではいられなくなった。
個人的な怒りは消えていない。
ただ、それより大きな目的を選べるようになった。
だからこそ、5巻の青輝は以前よりずっと怖い人物にも見えます。
激情で飛びかかってくる敵なら平殿器も対処できます。
しかし、自分を憎んでいるはずの男が笑わず、怒鳴らず、静かに自分の組織へ入ってくる。
その人間が頭脳まで優秀なのだから、長期的にはこちらのほうがはるかに危険です。
「平家追討」という章題を考えれば、5巻は青輝が復讐を捨てた物語ではなく、復讐の方法を変えた物語として読むこともできるでしょう。
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『日本三國』5巻の重要人物・阿佐間芳経|青輝と4年半ぶりに再会
青輝の復帰後、物語はすぐ次の事件へ動きます。
平殿器のもとへ届いたのは、かつて皇太子だった澄仁王が「反平結社」と結び、謀反を企てているという知らせでした。
澄仁王はすでに皇太子の立場を失い、流刑となっている人物です。
しかし、平殿器への反発が各地に存在する以上、皇統につながる澄仁王は反平勢力にとって極めて象徴性の高い存在でもあります。
平殿器は澄仁王に対する追討令を発します。
そして追討軍の参謀に三角青輝、軍を率いる長官に阿佐間芳経を任命しました。
ここで登場する阿佐間芳経が、5巻のもう一人の主役と言っていいでしょう。
青輝とは同期にあたる人物で、2人の再会は聖夷西征後から実に約4年半ぶりです。
長い空白があったにもかかわらず、再会した2人には気まずさよりも喜びがある。
そして戦場では、さらに強い信頼関係が見えてきます。
『日本三國』は軍略や政治が大きな魅力ですが、人間関係の描き方もかなりうまい作品です。
とくに青輝と芳経は、「頭脳担当と武力担当」という単純な役割分担だけではありません。
芳経は青輝の能力を理解し、その策に自分の命と軍を預けられる。
青輝もまた、芳経なら自分の意図を戦場で形にしてくれると分かっている。
この相互信頼があるから、軍師の策が机上の空論で終わらないんですね。
阿佐間芳経の成長が5巻の時間経過を実感させる
読者の感想でも目立つのが、5巻のキャラクターたちが大人びたという点です。
数年間という時間経過は、説明文だけでなく外見にも表れています。
青輝は髪が伸び、芳経も以前とは違う成熟した姿になっている。
こうした見た目の変化は、一見すると小さな演出ですが、私はかなり重要だと思います。
物語上で「4年経ちました」と一文で説明するだけなら簡単です。
でも『日本三國』5巻は、人物の顔つきや立場、関係性に年月を刻む。
読者が知っている若者たちが、読者の知らない時間を生きていた。
その空白があるから、再会したときに妙な懐かしさが生まれます。
しかも芳経は社会的な地位も高まり、青輝とはまったく同じ道を歩いてきたわけではありません。
片方は投獄され、片方は別の人生を進んでいた。
にもかかわらず、再び同じ戦場へ立った瞬間に息が合う。
この2人、やっぱりいいんですよ。
友情を長いセリフで説明しなくても、作戦を預けるという行為そのものが「お前を信じている」と語っている。
戦記漫画だからできる友情表現だと思います。
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『日本三國』5巻「笠置山の戦い」ネタバレ|澄仁王の謀反はどうなる?
澄仁王への追討は、単純な捕縛では終わりません。
澄仁王側も軍を率いて迎撃するため、両軍の衝突は「笠置山の戦い」へ発展します。
追討軍を率いるのは阿佐間芳経。
その参謀として策を組み立てるのが三角青輝です。
相手は元皇太子を旗頭とする反乱軍であり、単なる山賊討伐とは意味が違います。
平殿器への反発を「皇統」という象徴のもとにまとめられれば、反乱がさらに拡大する可能性もある。
つまり平にとって澄仁王は、早期に排除しておきたい政治的な火種です。
戦いそのものは、青輝と芳経が率いる追討軍の勝利となります。
その中心にあるのが、青輝が組み立てた計略と、それを信じて動く芳経の存在です。
読書感想では、この戦いについて「連環の計」を思わせる策が用いられたという指摘も見られます。
『日本三國』というタイトルそのものが中国史・三国志的な響きを持つ作品だけに、歴史戦記を読んできた人ほどニヤリとできる部分でしょう。
ただし、ここで重要なのは「奇抜な作戦だったか」だけではありません。
むしろ私は、青輝が長期間戦場から離れていたにもかかわらず、復帰直後から軍師として機能していることのほうに注目したいです。
4年間牢に入っていたからといって、青輝の思考は停止していなかった。
外の世界から切り離されても、考えることまでは奪えなかった。
そんな印象があります。
「笠置の熊」波田という新たな人物
5巻では新しい人物も次々と登場します。
読者レビューでとくに名前が挙がるのが、「笠置の熊」と呼ばれる波田です。
笠置山の戦いを経て、青輝の周囲に新たな人物が加わっていく。
この展開は王道の少年漫画的でもあり、『日本三國』の軍記物としての面白さを広げています。
青輝は一人で天下を変える人物ではありません。
むしろ彼の強さは、人を見て、能力を理解し、適切な場所へ配置していくことにあります。
その意味で、仲間が増えること自体が青輝の勢力拡大を意味する。
ここが『日本三國』の面白いところです。
一般的なバトル漫画なら、主人公の成長は「強い技を覚える」「敵より強くなる」という形で可視化されます。
一方、青輝の成長は人脈として可視化される。
自分の考えを理解してくれる人間、策を実行できる人間、異なる能力を持った人間が増えるほど、青輝は強くなるわけです。
5巻が「平家追討」編のプロローグとして機能しているのは、この仲間集めの始まりという意味でも大きいでしょう。

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『日本三國』5巻の重要人物を整理|平殿器・青輝・芳経・澄仁王
5巻は人物が増え、政治的な立場も複雑になります。
ここで物語を動かしている重要人物を整理すると、5巻の構造がかなり分かりやすくなります。
人物 5巻での立場・動き
平殿器 聖夷西征後に権力をさらに拡大し、王位を得る。武凰への東征を進める
三角青輝 約4年の投獄を経て解放。平の配下となり、澄仁王追討軍の参謀へ
阿佐間芳経 青輝と約4年半ぶりに再会。追討軍の長官として笠置山の戦いを指揮
澄仁王 元皇太子。反平結社と結び、平殿器に対する謀反へ動く
藤3世 大和帝。平殿器の圧力を前に王位授与を認める
龍門光英 青輝とともに前巻で投獄された人物。ただし5巻では動向がほとんど描かれない
とくに気になるのが龍門光英です。
青輝とともに逮捕されたにもかかわらず、5巻では青輝だけが前面へ復帰し、龍門の扱いは大きく描かれません。
これは読者感想でも疑問として挙げられていました。
青輝が自由になったのであれば龍門はどうなったのか。
単純に描写が後回しになっているだけなのか、それとも別の役割が用意されているのか。
5巻時点で断定はできませんが、あえて空白として残されている人物ほど後から効いてくるのが群像戦記の定石でもあります。
頭の片隅に置いて続きを読むと、面白さが変わってきそうです。
平殿器の勢力は「一人の独裁」ではない
もうひとつ重要なのが、平殿器の周辺に「平家」と呼ぶべき勢力が形成されていることです。
5巻では平に連なる人物たちも増え、単純な「青輝VS平殿器」という一対一の復讐劇ではなくなっていきます。
これこそ「平家追討」という言葉の重さでしょう。
平殿器一人を倒せば終わるなら、「平殿器追討」でいい。
けれど物語が示しているのは、彼の権力がすでに人間関係、軍、官職、婚姻、制度と結びついて巨大なネットワークになっているということです。
国家権力というものは、一人の悪人を倒しただけでは消えない。
利益を得る人間がいて、命令を実行する人間がいて、黙認する人間がいて初めて成立する。
青輝が本当に平殿器を追い詰めるなら、最後に平を討つことよりも、その前に平を支えている構造を崩す必要があるでしょう。
この視点で見ると、5巻の「平の配下になる」という青輝の判断が、かなり合理的に見えてきます。
内部に入らなければ、誰が何を支えているのか分からないからです。
『日本三國』5巻から始まる「平家追討」編は何が変わった?
5巻は、それまで続いていた「聖夷西征」編から、新章「平家追討」編へ切り替わる巻です。
参考記事では、コミックスの表紙も2〜4巻の黄土色系から、5巻では鮮やかな紫へ変化したことが触れられていました。
こうした装丁の変化も、章の切り替わりを意識させます。
物語上の最大の変化は、敵が「国外」から「国内」へ移ったことです。
聖夷西征では、大和と聖夷という国家間の衝突が中心でした。
ところが5巻以降は、大和国内の権力争い、反平勢力、皇族、官僚、軍人たちの思惑が絡み始める。
戦争のスケールが小さくなったのではありません。
むしろ戦う相手の輪郭が曖昧になった。
それが怖い。
外国との戦争なら、「敵国」と「自国」を比較的はっきり分けられます。
しかし内戦や権力闘争では、昨日まで味方だった人物が今日の敵になることもある。
国家のために戦っているのか、王のために戦っているのか、帝のためなのか、それとも自分自身の信念のためなのか。
正義の基準そのものが揺れます。
その舞台に、復讐心と太平への理想を同時に抱えた青輝を放り込む。
作者・松木いっか先生、かなり厳しい場所へ主人公を置いたなと思います。
武凰への東征が次の巨大な戦いになる
平殿器が王位を手にした先で目指しているのは、東国・武凰への東征です。
大和の総力を使って武王を滅ぼし、さらに統一を進める。
その大きな戦争を前にして起きたのが澄仁王の反乱でした。
つまり笠置山の戦いは、武凰との本格戦争に比べれば前哨戦という位置づけです。
それでも青輝と芳経が再びタッグを組み、その実力を示す舞台としては十分に機能しています。
私はここで、「5巻の勝利を青輝の完全復活と見ていいのか」という疑問も残りました。
軍師として戦場へ戻ることには成功した。
仲間もいる。
策も機能する。
しかし彼は現在、妻の仇である平殿器の命令で戦っています。
勝てば勝つほど、平の政権を強くしてしまう可能性もあるわけです。
ここが絶妙なんですよ。
主人公が勝利したのに、単純には喜べない。
青輝の軍事的成功と平殿器の政治的成功が、現段階では同じ方向を向いてしまっているからです。
この矛盾が、今後どこで破裂するのか。
私は「平家追討」編の核心はそこにあると考えています。
『日本三國』5巻を読んで考察|青輝は平殿器を内側から倒すのか
ここからは5巻の内容を踏まえた筆者の考察です。
結論から言えば、私は三角青輝の目的は「平殿器を暗殺すること」ではなく、平殿器が作った政治構造そのものを無力化する方向へ進む可能性が高いと考えています。
理由は、5巻時点ですでに青輝が復讐より太平を優先しているからです。
もし平を殺すだけなら、もっと早い段階で機会を探すはずです。
しかし青輝は平の下で働くことを選びました。
そこには「敵を知る」という軍略上の意味だけでなく、平が握っている軍事・行政・人脈のすべてへ接近できる利点があります。
平殿器の最大の武器は本人の腕力ではありません。
国家そのものを自分の武器として使えることです。
帝の勅命さえ、実質的には平の意思を実現する道具になる。
だったら青輝が倒すべきものも、「平殿器という一人の人間」だけでは足りない。
平がいなくなっても同じ仕組みが残れば、第二、第三の平殿器が生まれるからです。
これは亡き妻との「太平」という約束にもつながります。
復讐なら一人殺せば終わる。
太平を作るなら、次の悲劇が起きない仕組みまで考えなければならない。
この違いは大きいです。
だから5巻の青輝は、怒りを失った主人公ではありません。
怒りを政治思想にまで変換し始めた主人公なんじゃないかな。
私はそんなふうに感じました。
笠置山の勝利は「青輝の人材獲得」の始まりにも見える
もう一つ注目したいのが、青輝の周囲へ少しずつ人が集まり始めていることです。
芳経との信頼関係が復活し、笠置山では新たな人物との接点も生まれる。
この流れを見ると、青輝は今後「自分の軍」を直接作るのではなく、平殿器の組織内部で信頼できる人間を増やしていくのではないかと想像したくなります。
これはいわば、軍ではなくネットワークを作る戦いです。
平殿器が血縁や官職を通じて「平家」という権力網を広げるなら、青輝は能力と信頼によって別の網を作る。
両者の違いがここから明確になれば面白い。
平は恐怖によって人を従わせる。
青輝は信頼によって人を動かす。
もし最終的にこの対比へ向かうなら、『日本三國』は単なる天下統一物語ではなく、「どんな方法で人を束ねる政治が強いのか」を問う作品になるでしょう。
阿佐間芳経は青輝にとって最大級の財産
そして忘れてはいけないのが阿佐間芳経です。
5巻で描かれる青輝と芳経の関係を見ると、この人物は単なる有能な将軍以上の意味を持っているように思えます。
策略を考える人物と、それを実行する人物。
この2人が互いを疑えば軍は止まります。
逆に、一方が「こいつならやる」と分かっていれば、戦場で取れる選択肢は一気に増える。
青輝がどれだけ優れた策を作っても、実行者が怖がれば意味がない。
芳経がどれだけ強くても、方向を誤れば兵力を浪費する。
2人が組むことで初めて、一つの完成した軍事ユニットになるわけです。
しかも約4年半の空白を挟んでも信頼が消えていない。
これって、かなり強い。
今後、武凰との東征が本格化すれば、笠置山とは比較にならない規模の決断を迫られるでしょう。
そのとき青輝の策を信じ切れる芳経の存在は、戦力以上の意味を持つはずです。
一方で、だからこそ私は少し怖くもあります。
『日本三國』は政治と戦争を描く作品です。
信頼関係が強ければ強いほど、それを揺らす出来事が起きたときの破壊力も大きい。
2人が最後まで同じ方向を向けるのか。
それとも「太平」の定義をめぐって違う道を選ぶのか。
5巻を読む限りでは強固な友情が描かれていますが、その先まで安泰だと断定するには、この作品の世界はあまりに苛烈です。
『日本三國』5巻が面白い理由|戦争後の「権力」を描き始めた
5巻を読み終えて私が一番面白いと感じたのは、「大戦が終わった後」を丁寧に物語へ組み込んだ点です。
戦争漫画では、大きな戦いに勝つこと自体がクライマックスになりがちです。
でも現実の歴史では、戦争に勝った後こそ政治が始まります。
誰が新しい領土を支配するのか。
勝利の功績を誰が独占するのか。
軍事力を持った人物を誰が止めるのか。
『日本三國』5巻では、聖夷西征の成功を平殿器が権力へ転換していきます。
聖夷は奥和となり、平は王位へ近づき、大和の軍は次の東征へ向かう。
戦争の成果が、次の戦争を可能にしてしまう。
この連鎖がかなり生々しいです。
そして、その巨大な歯車の中へ青輝が再投入される。
主人公が自由を取り戻したはずなのに、より大きな権力システムへ組み込まれているようにも見える。
この二重性が5巻の魅力でしょう。
笠置山の戦いだけを見れば、軍師・三角青輝の復活劇です。
しかし俯瞰すると、平殿器の命令によって平殿器に反抗した勢力を青輝が倒している。
つまり青輝は「平を倒したい人物」であると同時に、「平政権を安定させる働きをしている人物」にもなっています。
この矛盾を抱えたまま物語が進むから、単純な勧善懲悪にならない。
そこが『日本三國』らしい面白さだと思います。
『日本三國』5巻ネタバレまとめ|平家追討編の本当の始まり
『日本三國』5巻では、聖夷西征から数年が経過した大和を舞台に、平殿器の権力拡大と三角青輝の復帰が描かれました。
聖夷は「奥和」となり、大和の影響下へ。平殿器はその功績を背景に王位を得て、次なる標的として東国・武凰への東征を進めていきます。
一方、輪島桜虎暗殺後に投獄されていた青輝は約4年ぶりに解放。
妻の仇である平殿器を目の前にしても、すぐ復讐するのではなく、亡き妻との太平の誓いを優先し、あえて平の配下から世界を変える道を選びました。
そして元皇太子・澄仁王と反平結社による謀反が発覚すると、青輝は追討軍の参謀へ。
約4年半ぶりに阿佐間芳経と再会し、2人は「笠置山の戦い」で再び強い信頼関係を見せます。
5巻は大規模な武凰戦そのものを描く巻ではありません。
それより重要なのは、今後の戦争を戦う人物、政治勢力、関係性が一気に配置されたことです。
平殿器はもう、一人の強敵ではない。
帝、軍、官職、人脈まで巻き込み、国家と区別することが難しいほど巨大な権力へ成長しつつあります。
その平を倒すために、青輝は平の外側ではなく内側へ入った。
だから私は、5巻を「復讐再開の巻」というより、青輝が本当の意味で政治家になり始めた巻として読みたいです。
剣で仇を討つのではなく、策と人間関係で国そのものを動かしていく。
ここから先、武凰への東征で青輝と芳経がどこまで力を伸ばすのか。そして、その力がいつ平殿器自身へ向けられるのか。
「平家追討」という題名の意味は、まだ入口しか見えていません。
だからこそ5巻を読み終えた時点では、勝利の爽快感よりも「ここから何が始まってしまうんだ」という感覚が残るんですよね。
戦争が終わった後に権力は誰の手へ渡るのか。
正義のために敵の組織へ入った人間は、最後まで自分の目的を失わずにいられるのか。
そして青輝が目指す「太平」は、平殿器を倒しただけで本当に訪れるのか。
その答えを追いかけたくなるところまで物語を一気に押し進めた。『日本三國』5巻は、まさに新たな局面の開幕を告げる一冊です。
よくある質問
『日本三國』5巻では三角青輝はどうなる?
輪島桜虎暗殺後の事件を受けて投獄されていた三角青輝は、聖夷西征から数年を経て平殿器の判断により解放されます。
その後は平殿器の配下に入り、澄仁王の追討軍で参謀を務めます。妻の仇である平へ即座に復讐するのではなく、太平を実現するため内側から世を変えようとする姿勢が5巻の重要なポイントです。
『日本三國』5巻の笠置山の戦いは誰と誰が戦う?
平殿器から追討令を受けた側と、元皇太子・澄仁王を中心とする反乱軍が衝突します。
追討軍では阿佐間芳経が長官、三角青輝が参謀を担当。青輝の策と芳経の実行力が噛み合い、追討軍が勝利します。
『日本三國』5巻から始まる新章は何?
5巻からは、それまでの「聖夷西征」編を経て「平家追討」編が本格的に始まります。
平殿器が王位を得て権力を拡大し、武凰への東征を進める一方、三角青輝は平の内部へ入って活動を再開します。平殿器と青輝の関係が、単純な敵対ではなく政治的な駆け引きへ変わっていく点が大きな見どころです。
相沢 透(あいざわ・とおる)


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