『ブラックトーチ』は、弐郎と羅睺が「人間と物ノ怪」という境界を越えて相棒となり、天鬼との最終決戦に挑む物語です。
忍者の末裔・我妻弐郎と、かつて「黒き凶星」と恐れられた物ノ怪・羅睺。二人の出会いから始まった物語は、やがて「強さとは他者を支配する力なのか」という問いへたどり着きます。
この記事では『BLACK TORCH(ブラックトーチ)』全5巻のネタバレを含め、弐郎と羅睺の出会い、「黒の灯火」結成、羅睺の過去、天鬼の目的、そして最終決戦の結末まで順番に整理します。
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『ブラックトーチ』ネタバレの結論は?全5巻の流れを先に整理
『ブラックトーチ』の物語を大きく分けると、「弐郎と羅睺の出会い」「黒の灯火結成」「羅睺の過去と天鬼の登場」「弐郎の修行」「天鬼との最終決戦」という5段階で進みます。
原作はタカキツヨシ先生による少年漫画で、『ジャンプスクエア』から『少年ジャンプ+』へ掲載の場を移しながら連載されました。単行本は全5巻で完結しています。
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巻 物語の重要ポイント
1巻 弐郎と羅睺が出会い、同化する
2巻 特務二課「黒の灯火」が本格始動する
3巻 羅睺の過去と天鬼との因縁が明らかになる
4巻 羅睺と弐郎が離れ、弐郎の修行が始まる
5巻 天鬼との最終決戦、弐郎と羅睺の答えが描かれる
物語のスタート地点だけを見ると、「少年が強大な妖怪の力を手に入れる」という王道の能力バトルに見えるかもしれません。
しかし最後まで読むと、その印象はかなり変わります。
この漫画がずっと問い続けているのは、強大な力を「所有する」ことと、誰かと「共に使う」ことの違いです。
羅睺を手に入れようとする者は何人も現れます。しかし弐郎だけは、最初から最後まで羅睺を単なる力として扱わない。
ここ、かなり重要なんですよね。
最終決戦までの出来事を振り返ると、弐郎の最大の武器が羅睺の妖力そのものではなかったことが、かなり鮮明に見えてきます。
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1巻ネタバレ|我妻弐郎と羅睺の出会いがすべての始まり
主人公・我妻弐郎は17歳の高校生です。
忍びの末裔として祖父・我妻寿正に育てられており、子どもの頃から動物の言葉を理解できる特殊な能力を持っていました。
ただし、その能力は幼い弐郎にとって必ずしも幸福なものではありません。
周囲の子どもたちから気味悪がられることもあり、弐郎は人間相手には荒っぽく振る舞う一方、動物に対しては驚くほど優しい少年へ成長していきます。
そんな弐郎が森で発見したのが、傷だらけになって倒れていた一匹の黒猫でした。
しかし、その黒猫は普通の動物ではありません。
正体は、かつて「黒き凶星」と呼ばれたほど強大な力を持つ伝説の物ノ怪・羅睺でした。
長期間にわたり殺生石へ封印されていた羅睺は、封印から解放されたばかりで本来の力を十分に取り戻していません。
しかも、その力を狙う物ノ怪たちが羅睺を追っていました。
普通なら逃げる場面です。
人間とは異なる存在で、しかも正体を知れば危険だと分かる。それでも弐郎は羅睺を見捨てません。
追っ手との戦いで、弐郎は胸を貫かれるほどの致命傷を負います。
そこで羅睺は、自分を守ろうとして倒れた弐郎へ力を与えるため、彼の身体と同化します。
弐郎の傷は塞がり、その身体には羅睺と同じ特徴的な模様が浮かびました。さらに羅睺の妖力を利用した強烈な攻撃によって、追っ手を退けることにも成功します。のんびりまったり漫画生活+1
ここだけなら、「瀕死の主人公が最強能力を獲得した」という覚醒イベントです。
でも僕は、この場面の本質はパワーアップではないと思っています。
弐郎は羅睺の力が欲しくて助けたわけではない。
羅睺も弐郎を器として利用するために助けたわけではない。
互いに相手を助けた結果として、二人は一つになってしまった。
この順序が、『ブラックトーチ』という作品では最後まで崩れません。
公儀隠密局が弐郎と羅睺を確保する
戦いを終えた弐郎の前に現れるのが、「公儀隠密局」です。
公儀隠密局は、物ノ怪に関連する事件の監視や処理を担当する秘密組織。もともとは江戸時代の御庭番衆をルーツに持つ組織として描かれています。
そこで弐郎は、鬼子母神一華や司場涼介と出会います。
一華は隠密の名家・鬼子母神家の一人娘。
幼い頃、物ノ怪討伐の任務で母親を失った過去があるため、物ノ怪そのものに強い嫌悪を抱いています。
当然、羅睺と同化した弐郎に対しても警戒心を隠しません。
そして弐郎の祖父・寿正も、実はかつて公儀隠密局に所属していた人物でした。
物ノ怪の危険性を知る寿正は、羅睺と同化した孫を簡単には認めません。
しかし弐郎は逃げません。
自分が羅睺を助けたこと、自分で選んだことには自分で決着をつける。
この「自分の選択から逃げない」という性格が、後の最終決戦にまでそのままつながっていきます。
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2巻ネタバレ|「黒の灯火」結成と咬牙の襲撃
弐郎を中心に設立されることになるのが、公儀隠密局特務二課の部隊「黒の灯火(ブラックトーチ)」です。
メンバーには弐郎、一華のほか、桐原零司、課長補佐の宇佐美花らが加わり、司場涼介が彼らを率います。
零司は剣術に秀でた隠密の名家・桐原家の跡継ぎ。
女性には愛想よく振る舞う一方、物ノ怪と同化して組織へ入ってきた弐郎には当初かなり冷たい態度を取ります。
二人は当然のように衝突します。
ただ、これも単なる「主人公とライバル」の関係だけではありません。
弐郎は血筋や肩書きに価値を置かない。
一方の零司は、名家の跡継ぎであること、兄との関係、父親から課された期待など、ずっと「誰かに決められた立場」を背負っています。
だから弐郎の存在は、零司にとってかなり眩しい。
何者になるかを自分で決めている人間だからです。
羅睺を狙う咬牙が登場
物語を大きく動かす敵の一人が、物ノ怪・咬牙です。
咬牙はさらに強い物ノ怪になることを望んでおり、そのために伝説級の妖力を持つ羅睺を求めています。
殺生石が置かれていた場所を訪れた弐郎たちは、咬牙の襲撃を受けます。
咬牙にとって羅睺は「強くなるために手に入れるもの」です。
対して弐郎にとって羅睺は「仲間」。
だから弐郎は、羅睺を物のように扱う咬牙に強く反発します。
この構図、実はそのままラスボスである天鬼との対立の縮小版なんですよね。
「強い力は、より強い者が持つべきだ」
そう考える側と、
「力を持っているからといって、そいつを物扱いしていいわけじゃない」
と考える弐郎。
この価値観の衝突が、まだ序盤の2巻ですでに置かれています。

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3巻ネタバレ|羅睺の過去と天鬼の正体が明らかになる
3巻では、『ブラックトーチ』最大の謎だった羅睺の過去が明らかになります。
芙蓉の幻術によって過去を追体験した弐郎と羅睺が目にしたのは、享保15年の出来事でした。
当時の羅睺は殺生石のある神社を根城としていました。
圧倒的な力を持っていたため、周辺の物ノ怪すら簡単には近づこうとしません。
しかし、人間を無差別に敵視していたわけではありませんでした。
近くの村に暮らす治郎兵衛という人間とも交流し、羅睺なりに穏やかな時間を過ごしています。
そこへ現れたのが天鬼です。
徳川幕府側では御庭番衆による物ノ怪への対応が進み、物ノ怪の中には人間側につく者も現れていました。
天鬼はその流れに危機感を抱き、物ノ怪を集めて人間へ対抗しようとします。
羅睺にも協力を求めますが、羅睺は拒否。
人間の側にも、物ノ怪の側にもつかない道を選びます。
すると天鬼は、羅睺と交流のあった人間たちの村を襲撃。
怒った羅睺は強大な妖力を放ち、天鬼を巻き込んで周囲を吹き飛ばします。
しかし、それによって羅睺自身もまた、人間から危険視される立場になってしまいました。
それでも羅睺は天鬼側につきません。
最終的に彼は、自ら殺生石へ封印される道を選びました。のんびりまったり漫画生活
この過去を知った瞬間、羅睺というキャラクターの見え方が一変します。
「黒き凶星」という異名だけ聞けば、昔は暴れ回っていた怪物だったように思える。
でも実際は違った。
羅睺は、人間と物ノ怪のどちらか一方を選ぶことそのものを拒んだ存在でした。
そして現代で出会った弐郎もまた、同じなんです。
一華から「物ノ怪は敵だ」と言われても、羅睺が自分を助けてくれた事実を優先する。
物ノ怪だから敵。
人間だから味方。
そんな分類に、弐郎は最初から興味がない。
だから羅睺は、弐郎を選んだのかもしれません。
比良坂町で物ノ怪との全面戦闘へ
その後、物ノ怪による事件が相次ぎます。
比良坂町では巨大な結界が張られ、弐郎、一華、零司が内部へ突入。
そこで待っていたのが、鉄輪、呂蓮、鳴子ら天鬼に協力する物ノ怪たちでした。
鉄輪はかつて人々から崇められながら、後に人間側から排除されようとした過去を持っています。
だからこそ人間を強く恨んでいる。
一方で芙蓉のように公儀隠密局へ協力する物ノ怪もいます。
ここで作品はかなり意識的に、
「人間対物ノ怪」という単純な対立構造を壊している
ように見えます。
人間にもそれぞれ事情があり、物ノ怪にもそれぞれ思想がある。
種族ではなく、結局は一人ひとりが何を選択するか。
そのテーマが敵側にも広がっていきます。
桐原零司の兄・真司も登場
零司の前には、行方不明となっていた双子の兄・桐原真司が姿を現します。
真司は妖刀・閻魔風に支配された被害者だと思われていました。
しかし実際には、自らの意思で閻魔風と同化しています。
幼少期から才能ある弟・零司を強く意識してきた真司。
名家の嫡男として期待されながら、剣の才能では弟に追いつかれる。その焦りと執着から、人ならざる力へ足を踏み入れていました。のんびりまったり漫画生活
弐郎と羅睺の同化と、真司と閻魔風の同化。
同じ「人と人外の融合」なのに、意味がまるで違います。
弐郎と羅睺は相手を生かすために一つになった。
真司は勝つために一つになった。
似た能力を配置しながら、動機だけを反転させている。
こういうところ、『BLACK TORCH』は短い全5巻の作品なのに妙に構造が細かいんですよ。
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4巻ネタバレ|羅睺との別離と弐郎の修行
比良坂町での戦いを経て、弐郎と羅睺には重大な問題が発覚します。
弐郎が羅睺の強大な力を使えば使うほど、その負担は無視できなくなっていくのです。
天鬼はそこにつけ込みます。
弐郎を救いたければ自分に従え、と羅睺へ迫る。
羅睺は弐郎の命を守るため、その要求を受け入れようとします。
しかし弐郎は羅睺を引き留めます。
ここで羅睺は、妖力の一部を弐郎の身体へ残した状態で離れることになります。
天鬼によって連れ去られた羅睺。
残された弐郎。
普通の能力漫画なら、「最強の力を奪われた主人公が修行して取り戻す」という展開でしょう。
もちろん形式的にはそうです。
でも、これを単なる修行編として片付けていいのか。
僕はそこに少し引っかかります。
弐郎がここで身につけなければならなかったのは、「羅睺なしでも強くなる方法」ではありません。
羅睺から託された力を、自分自身の意思で扱える人間になることだったのではないでしょうか。
羅睺は最後まで弐郎を子ども扱いして守ることもできた。
けれど、それでは対等な相棒にはなれない。
離れたことで初めて、二人は「力を与える側/借りる側」という関係から抜け出していきます。
無明の森で伊吹と文殊丸に出会う
羅睺の妖力を制御できず暴走する弐郎を止めたのは、祖父の寿正でした。
その後、弐郎は芙蓉たちとともに「無明の森」へ向かいます。
そこを治めているのが、女性の物ノ怪・伊吹です。
さらに伊吹と共に暮らす文殊丸も弐郎の修行に関わります。
人間が容易に足を踏み入れることのできない場所で、物ノ怪から力の扱い方を教わる。
これも考えてみれば象徴的ですよね。
公儀隠密局は、長い歴史の中で物ノ怪を監視・排除してきました。
その隠密の少年が、最後に世界を救うための力を「物ノ怪から学ぶ」。
人間だけでは完成しない。
物ノ怪だけでも完成しない。
まさに本作のテーマが修行編そのものに組み込まれています。
修行の末、弐郎は羅睺から残された力を扱えるようになります。ただし無制限ではなく、限界のある力として最終決戦へ向かうことになります。のんびりまったり漫画生活+1

5巻ネタバレ|天鬼の本当の目的と最終決戦
最終巻では、ついに天鬼の過去と思想が明確になります。
天鬼は生命が生み出す思念から誕生した物ノ怪です。
誕生した当初から人間に近い姿と一定の知識を持っていましたが、現在のような明確な思想を最初から持っていたわけではありません。
あるとき天鬼は、人間の女性を襲っていた物ノ怪を倒します。
助けられた女性によって村へ連れて行かれた天鬼は、やがて村を守る神のような存在として崇められるようになりました。
盗賊や物ノ怪から人々を守り、人間と共存する。
皮肉なことに、天鬼も最初から人間を憎んでいたわけではなかったのです。
しかし戦争によって状況が変わります。
傷ついた天鬼を回復させるため、人間側は犠牲を差し出します。
その経験から天鬼は、自分がさらに大きな力を持ち、すべてを支配すればいいという思想へ傾いていきました。
強者が頂点に立ち、弱者を導く。
そのためには他の物ノ怪すら、自らの力へ変えてしまえばいい。
そして最終局面で天鬼は、集めてきた同志たちにまで牙をむきます。
物ノ怪を取り込み、その妖力を自分のものにしていく。
鳴子すら例外ではありません。
仲間だったはずの存在まで「力」に換算してしまうわけです。のんびりまったり漫画生活
これ、天鬼というキャラクターの怖さが一番出ているところです。
天鬼は最初から仲間を大切にできない怪物だったわけじゃない。
「自分が全部背負えばいい」
「一番強い自分が世界を導けばいい」
という理屈を突き詰めた結果、他者を個人として見られなくなった。
だから羅睺にも執着します。
天鬼にとって羅睺は、対等な友ではない。
巨大な妖力を持つ「価値ある存在」であり、最終的には自分の力へ取り込む対象です。
弐郎とは完全に逆なんですよ。
弐郎は羅睺の力がなくても羅睺を助ける。
天鬼は羅睺の力があるから羅睺を必要とする。
もう、この一点だけで勝敗の意味まで決まっている気がします。
『ブラックトーチ』最終回ネタバレ|弐郎VS天鬼の結末
天鬼が作り出した巨大な結界が港湾部に出現し、最終決戦が始まります。
結界からは多数の物ノ怪が現れ、公儀隠密局の面々が対応。
弐郎は一華や零司、芙蓉、さらに咬牙たちの助力を得ながら天鬼のもとを目指します。
結界内部では、羅睺が拘束されていました。
その前に立つ天鬼。
弐郎は修行によって扱えるようになった羅睺の妖力を解放し、天鬼に挑みます。
しかし、物ノ怪たちを取り込んで力を増した天鬼との実力差は大きい。
弐郎は徐々に追い詰められます。
それでも弐郎は攻撃を止めません。
最後の力を振り絞って放った一撃は天鬼の腕を奪い、同時に羅睺を拘束していたものを破壊します。
そして解放された羅睺が選んだのは――再び弐郎のもとへ戻ることでした。
羅睺は弐郎と再同化。
二人はもう一度、一つになります。
天鬼も全力を解放し、羅睺の妖力まで奪おうとします。
しかし最終的に、羅睺の後押しを受けた弐郎の一撃が天鬼の心臓を貫きます。
こうして天鬼は敗北し、弐郎と羅睺が最終決戦を制しました。のんびりまったり漫画生活
ここで勝ったのは、「最も強大な妖力を持つ存在」ではありません。
複数の仲間を取り込んで単体として強くなった天鬼に対し、弐郎は仲間たちに支えられながら羅睺へたどり着く。
そして最後も、一人では倒せない。
羅睺と一緒だから届く。
物語の開始時点と同じです。
1巻で弐郎は羅睺を守ろうとして倒れ、羅睺が弐郎を救いました。
5巻では弐郎が羅睺を助けに行き、今度も羅睺が弐郎を押し出す。
同じことを繰り返しているようで、関係はまるで違う。
最初は偶然出会った二人。
最後は互いを選び直した二人です。
この差が、めちゃくちゃ大きい。
『ブラックトーチ』を最後まで読むと「強さ」の意味が反転する
ネットでは『ブラックトーチ』について、「忍者×妖怪の王道バトル漫画」と説明されることが多いと思います。
もちろん間違ってはいません。
でも、それだけで終わらせると一番面白い部分を取りこぼします。
僕が注目したいのは、本作に登場する「融合」「捕食」「同化」が、すべて似たような能力に見えて意味だけが違う点です。
弐郎と羅睺は同化する。
真司と閻魔風も同化する。
天鬼は他の物ノ怪を取り込む。
一見すれば全部、「別の存在の力を自分へ加える」という現象です。
ところが、その関係性は完全に違う。
真司は「勝つため」に力を選びます。
天鬼は「支配するため」に他者の力を吸収します。
しかし弐郎と羅睺だけは違う。
二人が最初に同化した理由は、勝つためですらありません。
羅睺が弐郎を生かすためです。
つまり『ブラックトーチ』では、同じように力を合わせた存在でも、相手を道具として扱うのか、相手の意思を認めるのかによって結果が変わる。
これ、かなり徹底していると思うんですよ。
天鬼は「間違った弐郎」ではなく「間違った羅睺」なのではないか
さらに僕は、天鬼を単純な「弐郎の対極」と見るだけでは足りないと思っています。
むしろ天鬼は、羅睺が選ばなかった未来ではないでしょうか。
享保15年。
人間と物ノ怪の対立が深まる中、天鬼は物ノ怪を束ね、人間へ対抗しようとしました。
羅睺にも協力を求めます。
しかし羅睺は拒否する。
天鬼が「どちらが支配するか」というゲームを始めようとした瞬間、羅睺だけが盤面そのものから降りています。
その結果、彼は自ら封印されました。
普通に考えれば敗北ですよ。
強大な力を持っているのに使わない。
人間にも理解されず、物ノ怪にも与しない。
そして殺生石の中で長い時間を過ごす。
でも現代で弐郎と出会ったことによって、その選択がようやく報われます。
人間にも物ノ怪にも所属しない羅睺だからこそ、人間でありながら物ノ怪を種族だけで判断しない弐郎と並べた。
もし羅睺があのとき天鬼の誘いを受けていたら、この関係は生まれなかったでしょう。
そう考えると、羅睺の封印は「逃げ」ではない。
何百年も先になって初めて答えが出るほど長い、彼なりの抵抗だったのかもしれません。
いや、この構造に気づくと殺生石の意味まで変わって見えるんですよね。
「最強の物ノ怪が封印されていた」という設定ではなく、支配する側になることを拒否した存在が、時間を超えて自分と同じ価値観を持つ少年と出会う。
だから弐郎と羅睺の物語だったのか、と。
最終決戦で天鬼が敗れた本当の理由
天鬼は作中でも屈指の強者です。
しかも仲間の物ノ怪まで取り込んで妖力を増幅させています。
単純な戦闘力で考えれば、弐郎一人が真正面から勝てる相手ではありません。
一方、弐郎は羅睺と離れたあと修行していますが、力には限界があります。
それでも最終的に弐郎側が勝つ。
ここを「主人公補正」で終わらせるのは簡単です。
しかし物語全体を見ると、むしろロジックは逆ではないでしょうか。
天鬼は強くなるほど孤立していきます。
同志を集めたのに、その同志まで取り込む。
最終的には「一人の圧倒的強者」へ近づいていく。
対する弐郎は、物語が進むほど他者とのつながりが増えていきます。
最初は羅睺だけ。
そこへ一華、零司、司場、芙蓉、寿正たちが加わり、最終決戦では敵側にいた咬牙まで弐郎を助ける方向へ動きます。
天鬼は一人になることで強くなり、弐郎は一人ではなくなることで強くなる。
ここが『BLACK TORCH』の最終決戦の本質ではないでしょうか。
だから天鬼の「弱者はいらない」という思想と、弐郎の「みんなの力を借りる」という戦い方は真正面からぶつかる。
能力の相性以前に、思想そのものが戦っています。
少年漫画として、かなり好きな決着です。
『ブラックトーチ』最終回で残された伏線はどうなる?
一方、『ブラックトーチ』は全5巻で完結しているため、すべての物語が完全に決着したわけではありません。
とくに気になるのが、桐原零司と兄・真司の関係です。
真司は妖刀・閻魔風と同化し、父親の命を奪った人物。
零司にとって倒すべき相手でありながら、同時に兄でもあります。
3巻では二人が直接対峙しますが、物語全体として完全な決着まで描き切られたとは言いにくい部分があります。
また、一華の過去にも余白が残っています。
彼女が物ノ怪を強く憎む原因となった母親の件は、一華というキャラクターの根幹に関わる要素です。
咬牙についても、当初は羅睺の力を狙う敵として登場しながら、天鬼のやり方を目の当たりにしたことで立場が変化します。
最終局面で弐郎を助ける姿を見ると、この先にもっと大きな変化が用意されていた可能性を感じずにはいられません。
だから最終巻を読むと、「物語は終わった。でも世界はまだ続いている」という独特の感触が残ります。
すべてを説明して閉じる最終回ではありません。
天鬼との対立という最大の一本柱には決着をつけながら、キャラクターたちの人生には意図的か結果的かを問わず、余白が残っている。
個人的には、そこが少し惜しくもあり、同時に『ブラックトーチ』らしくも感じます。
弐郎たちは世界そのものを完成させたわけではない。
ただ、自分たちがこれから何者として生きていくのか、その答えだけは手に入れた。
そういう終わり方なんですよね。
まとめ|『ブラックトーチ』ネタバレを最後まで追うと弐郎と羅睺の関係が核心だと分かる
『ブラックトーチ』は、忍者の末裔・我妻弐郎が傷ついた黒猫・羅睺を助けたことから始まります。
羅睺は「黒き凶星」と呼ばれた伝説の物ノ怪。弐郎が追っ手との戦いで致命傷を負ったことで二人は同化し、その後、公儀隠密局の特務二課「黒の灯火」で物ノ怪事件へ立ち向かっていきます。
物語中盤では羅睺がかつて天鬼から仲間になるよう誘われ、それを拒否して自ら殺生石へ封印された過去が判明します。
そして天鬼は、人間や物ノ怪を力によって支配する思想を強め、最終的には仲間の物ノ怪さえ自らの力として取り込んでいきました。
一度は離れ離れになった弐郎と羅睺ですが、弐郎は無明の森で修行。
最終決戦で天鬼のもとへたどり着き、拘束されていた羅睺を救います。
羅睺は再び弐郎と同化し、二人は力を合わせて天鬼を撃破。
こうして物語最大の対立には決着がつきました。のんびりまったり漫画生活
ただ、僕が『ブラックトーチ』で一番好きなのは、最終的な勝敗そのものではありません。
第1巻から第5巻まで、弐郎は一度も「羅睺の力が欲しいから羅睺を助ける」という選択をしていない。
強いから必要なのではなく、そいつだから助ける。
羅睺も同じです。
だから最後の同化は、1巻と同じ現象なのに意味がまったく違う。
偶然一つになった二人が、最後には自分たちの意思でもう一度一つになる。
『BLACK TORCH』というタイトルの「黒の灯火」が何を照らしていたのか。
僕には、人間と物ノ怪の境界そのものではなく、その境界を越えて誰かを信じるという、弐郎の馬鹿みたいに真っ直ぐな選択だったように思えます。
よくある質問
『ブラックトーチ』は全何巻で完結している?
原作漫画『BLACK TORCH』は全5巻で完結しています。作者はタカキツヨシ先生で、『ジャンプスクエア』『少年ジャンプ+』で発表されました。
『ブラックトーチ』のラスボスは誰?
物語最大の敵となるのは、羅睺と同等クラスの力を持つ物ノ怪・天鬼です。物ノ怪を束ねて公儀隠密局と敵対し、最終的には他の物ノ怪を取り込んで自らの力を増大させます。
『ブラックトーチ』の最後で羅睺と弐郎はどうなる?
最終決戦で羅睺は再び弐郎と同化し、二人は力を合わせて天鬼を倒します。最初は偶然から始まった二人の同化が、最後には互いを選んだ結果として描かれる点が重要です。
執筆:相沢 透


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