オルステッドは最終的にルーデウスの味方となり、主従関係を結んでヒトガミ打倒を目指します。
ただし、誰にでも心を開く「仲良しの味方」になるわけではありません。エリスとは激突を経て同じ陣営に立ち、ペルギウスとは目的が重なる一方で、将来的な対立の可能性も抱えています。
『無職転生』のオルステッドは、初登場時の印象だけを見れば、どう考えても味方には見えません。
ルーデウス、エリス、ルイジェルドを圧倒し、ヒトガミという名前を聞いた途端にルーデウスへ致命的な攻撃を加えた人物です。静かな口調のまま命を奪える。その姿は、敵というより「物語の進行そのものを止める災害」に近いものでした。
ところが物語が進むと、オルステッドはルーデウスにとって最大級の後ろ盾になります。
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この変化が面白いんですよね。突然性格が丸くなったわけでも、過去の戦いが水に流されたわけでもない。互いの目的と守りたいものを確認した結果、かつて殺し合った二人が、最も合理的で強固な協力関係へたどり着くのです。
この記事では、オルステッドがなぜルーデウスの味方になるのか、誰を仲間として扱うのか、エリスやペルギウスとどのような関係にあるのかを、原作の情報をもとに整理します。
物語の重要な展開に触れるため、ここから先はネタバレを含みます。
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『無職転生』オルステッドは味方になる?結論はルーデウスの主君になる
オルステッドは、ルーデウスとの再戦後に彼を配下へ迎えます。
関係性を簡潔に表すなら、対等な友人というよりも、オルステッドが主君、ルーデウスが腹心となる主従関係です。ただし、強制的に従わせるだけの冷たい関係ではありません。
再戦時のルーデウスは、自分の意思だけでオルステッドを倒そうとしたわけではありませんでした。
ヒトガミから家族の安全を脅かされ、オルステッドを殺さなければ大切な者たちが危険にさらされるという状況へ追い込まれていたのです。ルーデウスにとっては、勝算が薄いと分かっていても挑むしかない戦いでした。
ルーデウスは魔術、装備、罠、地形を徹底的に利用し、オルステッドに大きな損傷を与えます。
それでも最終的にはオルステッドが勝利しました。作中屈指の準備を重ねたルーデウスですら届かなかったことで、オルステッドの異常な強さが改めて示されます。
しかし、オルステッドはルーデウスをその場で処分しませんでした。
ルーデウスの事情を聞き、家族をヒトガミから守る代わりに、自分の下で働くよう提案します。ルーデウスもその条件を受け入れ、二人はヒトガミに対抗する同じ陣営へ移りました。
ここで重要なのは、オルステッドがルーデウスの弱みにつけ込んだだけではないことです。
オルステッドは、家族を守るために命を懸けたルーデウスの行動を理解しています。だからこそ、配下になった後も家族から長期間引き離すつもりはないと伝えました。
ルーデウスが休暇や生活費について恐る恐る相談すると、オルステッドは可能な限り便宜を図る姿勢を見せます。
資金を求められた際には、魔界の名工ユリアン・ハリスコが王竜王カジャクトの骨から作った魔剣「指折」を差し出しました。売却すればアスラ金貨十万枚ほどになるとされる、生活費という言葉では収まらないほどの資産です。
もっとも、あまりに高価で換金が難しいとルーデウスが困ると、オルステッドは魔術ギルドで売却しやすい色付きの魔石を用意します。
この場面、かなり好きなんです。
人間社会の金銭感覚がずれているオルステッドと、雇用条件をきちんと確認したいルーデウス。その会話は少しコミカルですが、同時に二人の関係が「恐怖による服従」だけではないことを示しています。
オルステッドは命令を下すだけの支配者ではなく、ルーデウスが働ける環境を整えようとする雇用主でもある。ファンから「社長」と呼ばれる理由が、ここに凝縮されています。
オルステッドがルーデウスを仲間にした理由
オルステッドがルーデウスを配下にした理由は、単に戦闘力が高かったからではありません。
ルーデウスは、オルステッドがこれまで経験してきた歴史には存在しなかった人物でした。
オルステッドの記憶の中には、本来「ルーデウス・グレイラット」という重要人物はいません。転移事件やナナホシの召喚と同じく、ルーデウスの存在そのものが、従来の歴史から外れたイレギュラーだったのです。
さらにルーデウスは、ヒトガミと接触し、その助言や命令を受けた経験を持っています。
ヒトガミの姿を見ることができないオルステッドにとって、ヒトガミと会話できるルーデウスは貴重な情報源です。同時に、未来の知識を記した日記や、従来の歴史にはなかった人脈も持っています。
オルステッドが長い時間をかけても突破できなかった状況に、ルーデウスなら新しい変化を起こせるかもしれない。
つまりルーデウスは、強力な魔術師であるだけでなく、硬直していた運命を動かす「未知の一手」だったのです。
「敵の敵は味方」から始まった関係
ルーデウスはオルステッドの説明を聞き、彼がヒトガミを倒す明確な理由を持っていると理解します。
オルステッドは、初代龍神の息子である古代龍族です。転生法によって太古の時代から現在へ送られ、古代龍族の悲願であるヒトガミ打倒を背負っています。
その身体には、世界中の生物から恐れられ、避けられてしまう呪いが掛けられています。
さらに、ヒトガミの目から逃れ、大まかな未来を把握するための秘術を持つ一方、その代償として魔力の回復が極端に遅くなっています。
圧倒的な強さを持ちながら、自由に全力を振るえばよいわけではない。
オルステッドは、最後にヒトガミを倒すための魔力を残しながら戦わなければならないのです。この制約があるため、ルーデウスのように自分の代わりに各地で行動できる人物は極めて重要でした。
一方のルーデウスも、ヒトガミによって家族の未来を壊される可能性を知っています。
出発点は友情ではありません。「敵の敵は味方」という、あまりにも現実的な共闘です。
けれど私は、この利害から始まる関係だからこそ信頼できると感じました。
最初から無条件に分かり合ったわけではない。互いに何を望み、何を守り、どこまで責任を負うのかを確認している。その積み重ねが、やがて言葉以上に強い信頼へ変わっていきます。
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無職転生のオルステッドに仲間はいる?呪いを越えた龍神陣営
オルステッドには仲間ができますが、その人数は多くありません。
最大の理由は、オルステッドが受けている「世界中のあらゆる相手から忌避される呪い」です。
初対面の人物は、理屈より先にオルステッドを恐れます。
敵意がないと説明されても身体が硬直し、本能的に逃げたくなる。強面だから怖いという次元ではなく、存在そのものに拒絶反応を起こしてしまうのです。
この呪いによって、オルステッドは長い間、一般的な意味での仲間を作れませんでした。
どれだけ正しい目的を持っていても、話を聞いてもらう前に恐れられる。助けようとして近づいても、相手には襲撃者のように見えてしまう。
オルステッドの孤独は、無口な性格だけが原因ではありません。
むしろ、言葉を尽くしても関係を築けない経験を繰り返した結果、必要以上に話さなくなったのではないか。そう考えると、彼の短い言葉にも違う重みが見えてきます。
呪いの影響を受けにくい人物が仲間への入口になる
オルステッドの呪いには例外があります。
同じ龍族に属する存在や、ルーデウス、ナナホシのような異世界と関係する人物には、通常ほど強く作用しません。
ルーデウスはオルステッドを恐れないわけではありません。
一度殺されかけた記憶があるため、当然ながら心理的な恐怖は抱えています。ただし、呪いによって理由なく嫌悪することはなく、説明を聞いて相手の目的を判断できます。
この「会話が成立する」という一点が、オルステッドにとっては途方もなく大きい。
ルーデウスが配下になった後は、彼を経由して多くの人々や組織と接点を持てるようになります。アリエル、ザノバ、ルイジェルド、グレイラット家の人々など、ルーデウスが築いてきた信頼の網が、そのまま龍神陣営の力へ変わっていくのです。
オルステッドが手に入れた最大の戦力は、ルーデウスの魔力だけではありません。
人と人を結び、目的の異なる者たちを一つの作戦へ参加させる力こそ、ルーデウスが持ち込んだ最大の変化だと私は考えます。
オルステッドと主要人物の関係一覧
人物 オルステッドとの関係 関係の要点
ルーデウス 配下・腹心 ヒトガミ打倒のために共闘し、家族の保護と引き換えに主従関係を結ぶ
エリス 元敵対者・同陣営 二度の戦闘を経て、ルーデウスを守る立場として龍神陣営に加わる
ナナホシ 保護対象・協力者 異世界から来た人物として保護され、召喚や帰還の研究を進める
ペルギウス 同じ古代龍族 共通する敵や課題を持つが、最終目的は完全には一致しない
ルーデウスの家族 間接的な保護対象 ルーデウスとの契約により、ヒトガミから守る対象となる
ここで注意したいのは、オルステッドの「仲間」が、全員同じ温度で結ばれているわけではないことです。
ルーデウスとは主従、ナナホシとは保護と研究協力、エリスとはルーデウスを中心にした共闘、ペルギウスとは龍族としての利害関係があります。
目的が同じ部分では手を組み、違う部分では距離を取る。
きれいな友情だけでは整理できないからこそ、龍神陣営は政治的で、現実的で、物語として面白いのです。

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無職転生のオルステッドとエリスの関係は?敵から同じ陣営へ
オルステッドとエリスは、最初から信頼し合う関係ではありません。
エリスにとってオルステッドは、目の前でルーデウスを瀕死に追い込んだ相手です。
初めて対峙した時、エリスもルイジェルドもオルステッドの力にほとんど抵抗できませんでした。
とくにエリスは、自分より年下のルーデウスに頼り切り、肝心な場面で彼を守れなかったことを深く受け止めます。それが、彼女がルーデウスのもとを離れて修行へ向かった大きな理由になりました。
エリスが去った理由を、政略結婚やルーデウスへの嫌悪だと捉えるのは正確ではありません。
彼女はルーデウスと並んで戦える強さを求めていました。もう二度と、愛する人が目の前で倒されるのを見ているだけの自分でいたくなかったのです。
ただ、エリスは自分の気持ちを言葉へ変えるのが得意ではありませんでした。
彼女が伝えたかったのは「今の自分では戦闘面で釣り合わない」という意味でしたが、残されたルーデウスには「二人は恋人として釣り合わない」と受け取られてしまいます。
このすれ違いは、アニメだけでも心情の輪郭は見えます。
しかし原作では、エリスが何を悔やみ、なぜ強くならなければならないと考えたのか、その感情がより細かく積み重ねられています。短い言葉の裏にある決意を知ると、再登場時の一歩がまるで別の重さになるんです。
エリスはオルステッドを倒すために修行した
エリスの修行には、オルステッドへの対策という明確な目的が含まれていました。
剣神ガル・ファリオンのもとで鍛えられ、オルステッドが使う水神流の返し技、剣神流への対応、初めて見る技を観察しようとする傾向などを学びます。
再戦時のエリスは、以前のように感情のまま突撃しませんでした。
オルステッドが先手に対する返し技を得意としていると理解し、あえて攻めず、ルーデウスが回復する時間を稼ぎます。
これはエリスにとって、単なる戦闘技術の向上ではありません。
突進するしかなかった少女が、仲間と連携し、待つことを覚えた。剣の速さ以上に、精神の成長が示された場面です。
オルステッドも、以前の歴史で知っていたエリスとの違いに気づきます。
本来なら別の道を歩むはずだったエリスが、ルーデウスへの思いによって成長し、オルステッドの予測から外れた剣士になっている。
この変化こそ、ルーデウスが世界に与えた影響の一つです。
オルステッドはエリスをどう見ているのか
オルステッドは、エリスを単純な敵として憎んではいません。
彼は何度も歴史を経験しているため、本来のエリスがどのような人生を歩み、誰と結ばれる可能性があったのかを知っています。
ところが目の前のエリスは、その既知の歴史から大きく変化していました。
ルーデウスだけを大切にし、彼を守るために自分の戦い方まで作り替えている。その姿を見たオルステッドは、驚きとともに彼女の成長を認めています。
もちろん、再戦の最中は本気で刃を交えています。
けれどオルステッドにとっては、憎しみからの殺し合いではなく、ヒトガミの使徒となった可能性があるルーデウスを排除するための戦闘でした。事情が判明し、ルーデウスが配下になった後まで、エリスと敵対し続ける理由はありません。
エリスもオルステッドを好きになるわけではありません。
ルーデウスを一度殺しかけた相手として警戒心は残るでしょう。それでも、ルーデウスの家族をヒトガミから守り、彼と同じ敵へ立ち向かう存在なら、同じ側で戦うことは受け入れられる。
二人の関係は友情よりも、実力を認め合ったうえで成立する緊張感のある共闘関係と表現するのが近いでしょう。
エリスが龍神陣営にもたらしたもの
エリスの価値は、剣王級の戦闘力だけではありません。
彼女は判断に迷った時でも、「ルーデウスを守る」という軸だけは揺らぎません。
政治的な駆け引きや複雑な作戦では、ルーデウスも不安や疑念に引きずられます。
そんな時、エリスの一直線な姿勢は、龍神陣営にとって一種の羅針盤になります。合理性だけで組み上げられた作戦の中に、「何のために戦うのか」という感情を持ち込む存在です。
オルステッドは世界規模の目的を見ています。
ルーデウスは家族と身近な人々を見ています。
エリスは、そのルーデウス自身を見ている。
視線の向きが違う三人が同じ陣営にいるからこそ、ヒトガミへの戦いは単なる神々の因縁ではなく、人間の生活を守る物語へ変わっていくのです。
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無職転生のペルギウスとオルステッドの関係は?同族だが親友ではない
ペルギウスとオルステッドは、どちらも古代龍族に連なる存在です。
ペルギウスは「甲龍王」の称号を持ち、空中城塞ケイオスブレイカーを支配しています。魔神ラプラスを倒した英雄として知られ、召喚魔術と結界魔術に極めて高い技量を持つ人物です。
初対面のルーデウスは、ペルギウスの銀髪や圧倒的な威圧感からオルステッドを連想し、強い恐怖を覚えました。
ただし、二人は似た雰囲気を持っていても、性格も立場も目的も同じではありません。
オルステッドは初代龍神の息子として、ヒトガミを倒すことを最終目的としています。
一方のペルギウスは、過去の戦争で封印した魔神ラプラスが復活した時、再び討ち取ることを重要な使命としています。
ラプラスへの対処という点では利害が重なります。
しかしオルステッドにとって、ラプラス討伐はヒトガミへ到達するための過程でもあります。ペルギウスにとっては、ラプラスそのものが過去から続く最大級の脅威です。
同じ龍族だから、何も言わなくても完全に分かり合えるわけではない。
同じ山を見ていても、登る理由が違う。私は二人の関係を、そんなふうに感じています。
オルステッドの呪いはペルギウスに効くのか
ペルギウスは古代龍族であるため、一般の人々と同じようにはオルステッドの呪いに支配されません。
そのため、二人の間では最低限の会話や判断が成立します。
ただし、呪いを受けないことと、親密であることは別です。
ペルギウスは独自の誇りと目的を持つ王であり、オルステッドへ無条件に従う人物ではありません。オルステッドも、ペルギウスを気軽に使える部下として扱ってはいません。
両者は互いの力と立場を理解し、必要以上に踏み込まない距離を保っています。
これは仲が悪いというより、相手が簡単には動かせない存在だと分かっているからでしょう。
ペルギウスとオルステッドは仲間なのか
現在の利害だけを見れば、協力可能な同族です。
ラプラスやヒトガミに関係する問題では、情報や目的が部分的に重なります。ナナホシの保護や召喚魔術の研究も、二人を間接的につなぐ要素です。
ナナホシはもともとオルステッドに保護され、その後、ペルギウスの協力を得ながら召喚魔術を研究します。
ルーデウスもナナホシを通じてペルギウスと接点を持ち、空中城塞の転移魔法陣や知識に助けられるようになりました。
つまりペルギウスは、オルステッド直属の仲間ではありません。
それでも、ルーデウスとナナホシを介することで、龍神陣営と協力できる重要人物になっています。
「仲間か敵か」の二択で決めるなら仲間寄りですが、より正確には、共通の問題を持つ独立勢力でしょう。
ペルギウスとオルステッドが対立する可能性
ペルギウスとオルステッドの関係には、将来的な緊張もあります。
オルステッドがヒトガミのいる場所へ到達するためには、古代龍族に関わる秘宝が必要になります。その目的を突き詰めると、秘宝を持つ者たちとの衝突を避けられない可能性があります。
ペルギウスは、ただ協力を求められればすべてを差し出す人物ではありません。
自らの使命、誇り、空中城塞の主としての責任を持っています。オルステッドの最終目的が正しいとしても、その過程でペルギウスの譲れないものに触れれば、両者は敵対し得ます。
ここが『無職転生』の人間関係の厳しいところです。
共通の敵がいるからといって、永久に味方でいられるとは限らない。今日の協力者が、明日の障害になる可能性を消せません。
ただし、未来の対立が予想されるからこそ、ルーデウスの存在が大きな意味を持ちます。
オルステッドは目的達成を最優先に考えますが、ルーデウスは相手との関係や、戦わずに済む方法を探そうとします。
本来なら衝突しかなかった二者の間に、交渉という細い橋を架けられるかもしれない。
オルステッドがルーデウスを仲間にした価値は、こうした場面でも現れてくるのです。

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オルステッドが味方になる展開は何を意味する?筆者の考察
私見では、オルステッドが味方になる展開は、『無職転生』という物語の見え方を大きく反転させる仕掛けです。
初登場時のオルステッドは、説明不能なほど強く、ルーデウスの人生を一瞬で終わらせられる恐怖の象徴でした。
ところが彼の事情を知ると、その強さは自由の証ではなく、背負わされた使命の重さに見えてきます。
オルステッドは約二千年前に転生法によって現在へ送られました。
初代龍神を失い、古代龍族の悲願を託され、ヒトガミを倒すために存在しています。個人的な幸福や、別の人生を選ぶ余地がほとんどありません。
しかも呪いによって、世界中の生物から恐れられます。
守ろうとした相手にも拒絶され、目的を説明する機会すら得にくい。長い時間を生きながら、人との関係を積み重ねることができないのです。
そんなオルステッドにとって、ルーデウスは単なる有能な部下ではありません。
恐怖を抱きながらも質問し、条件を確認し、家族の話をし、生活費まで要求してくる。オルステッドを神や怪物としてではなく、話し合いのできる相手として扱った人物です。
雇用条件を相談する場面は笑えます。
でも同時に、それまで孤立していたオルステッドが、初めて「誰かと一緒に戦うための条件」を整えている場面でもある。
だから胸に残るんですよね。
オルステッドの強さを完成させたのは仲間だった
オルステッドは個人として作中最高峰の戦闘力を持ちます。
世界に存在する多くの技や術を知り、ルーデウスの魔術を無効化し、剣士の奥義にも対応できます。
それでも、ヒトガミを倒せていませんでした。
理由の一つは、ヒトガミが表に出ず、他者を使って未来へ干渉する存在だからです。
どれほど一対一で強くても、世界各地の政治、家族、信仰、恐怖、欲望を利用する敵には、拳だけでは届きません。
ルーデウスは、オルステッドが持たなかったものを持っています。
家族、友人、恩人、弟子、協力者。そして、失敗しても相手と話し直そうとする姿勢です。
エリスはルーデウスを守る剣になります。
ナナホシは異世界と召喚に関する知識を持ち込みます。
ペルギウスは独立した立場を保ちながら、召喚魔術、結界魔術、転移手段によって計画を支えます。
オルステッド一人では点だった力が、ルーデウスを中心に線でつながっていく。
最強の龍神に足りなかった最後の能力は、新しい必殺技ではなく、仲間を作ることだった。私はそう考えています。
エリスとペルギウスが示す二種類の協力関係
エリスとペルギウスは、オルステッドとの関係を考えるうえで対照的です。
エリスは感情によって龍神陣営へ入ります。
ルーデウスを守りたい。その一点が、オルステッドへの恐怖や過去の因縁を越えます。オルステッドを信奉しているわけではなく、ルーデウスが選んだ道だから同じ側で戦うのです。
ペルギウスは利害と使命によって協力します。
同じ龍族として共有できる情報があり、ラプラスという問題もあります。ただし、自らの目的と誇りを捨ててオルステッドへ従うことはありません。
エリスは近い距離で支える仲間。
ペルギウスは一定の距離を保つ協力者。
どちらも必要です。
全員が家族のように親しくなる必要はありません。同じ目的へ向かう期間だけ、互いの違いを認めながら手を組む関係もある。
『無職転生』は、この距離感を意外なほど丁寧に描いています。
原作で読むとオルステッドの印象が変わる
アニメでは、オルステッドの恐ろしさが映像と音によって強烈に表現されています。
姿を見ただけで周囲が硬直し、戦闘が始まれば、ルーデウスたちが積み上げてきた強さを一瞬で無力化する。初登場の衝撃は、アニメならではの魅力です。
一方、原作でとくに注目したいのは、オルステッドが会話の途中で見せる小さな反応です。
ルーデウスの理解が早いことを評価する言葉。
家族と離れたくないという希望を否定しない姿勢。
金銭が必要だと聞き、価値の高すぎる魔剣を当然のように差し出す感覚。
こうした行間から、不器用ではあるものの、部下を粗末に扱う人物ではないことが見えてきます。
また、ルーデウスが自分の転生について不安を抱いた際、オルステッドは彼の存在を整理するための情報を与えています。
ルーデウスの肉体にはラプラスの因子があり、膨大な魔力を収められる素質がありました。ただし、現在の魔力総量は幼少期から鍛え続けた努力の結果だと、オルステッドは明確に認めます。
ルーデウスが「本来の子供の人生を奪ったのではないか」と悩んだ時にも、オルステッドは自らの記憶をもとに、一つの可能性を示しました。
このやり取りは、設定説明だけではありません。
ルーデウスが「自分はルーデウス・グレイラットとして生きてよい」と受け止め直す場面であり、その背中を押したのが、かつて彼を殺したオルステッドなのです。
敵だった人物の言葉によって、主人公が自分の人生を肯定する。
このねじれた美しさは、要点だけを追うとこぼれ落ちてしまいます。原作の会話を読むことで、オルステッドが味方になる変化を、展開ではなく感情として理解できるはずです。
まとめ:オルステッドはルーデウスの味方となり仲間を得ていく
『無職転生』のオルステッドは、ルーデウスとの再戦を経て味方になります。
正確には、ルーデウスがオルステッドの配下となり、ヒトガミ打倒を目指す主従関係です。オルステッドはルーデウスの家族を守り、活動に必要な資金や環境も提供します。
エリスとは二度にわたって剣を交えますが、ルーデウスが龍神陣営へ入ったことで、同じ側で戦う関係へ変わります。
エリスにとってオルステッドは、簡単に許せる相手ではありません。それでもルーデウスを守るという目的のため、過去の恐怖を越えて共闘します。
ペルギウスとオルステッドは、同じ古代龍族に連なる存在です。
ラプラスなど共通する問題を持つ一方、最終目的は完全には一致していません。親友や直属の仲間ではなく、必要に応じて協力する独立勢力同士と考えるのが自然です。
オルステッドは最初から孤独を望んでいたわけではないのかもしれません。
呪いによって誰にも理解されず、一人で戦うしかなかった。そこへ、恐れながらも話を聞き、条件を交渉し、仲間を連れてくるルーデウスが現れます。
最強の龍神が、最強のままでは勝てなかった敵。
その壁を越える鍵が、人とのつながりだったことに気づくと、オルステッドが味方になる展開は単なる戦力増強ではなくなります。
恐怖の象徴だった男が、不器用な主君になっていく。
そしてルーデウス、エリス、ナナホシ、ペルギウスらの異なる思惑が、ヒトガミへ向かって少しずつ重なっていく。
その先でオルステッドが本当に手に入れるものは、勝利だけなのでしょうか。
答えのすべては、まだ語り切らない方がいい気がします。彼の短い言葉の行間に何が残されているのか、ぜひ物語の中で確かめてみてください。
よくある質問
オルステッドはルーデウスの敵ですか?
初登場時と再戦時には敵として戦いますが、その後はルーデウスを配下へ迎え、ヒトガミ打倒を目指す味方になります。
両者は友人というより主従関係ですが、オルステッドはルーデウスの家族を守り、本人の事情にも配慮しています。
エリスはなぜオルステッドと戦ったのですか?
エリスは、瀕死のルーデウスを守るためにオルステッドの前へ立ちました。
最初の戦いで何もできなかった経験から、自分もルーデウスを守れるほど強くなりたいと考え、長期間の修行を重ねています。
ペルギウスとオルステッドは仲間ですか?
同じ古代龍族に連なり、ラプラスなど共通する問題を持つため、協力できる関係です。
ただし直属の主従や親友ではなく、それぞれ独自の目的を持つ独立勢力です。目的の違いから、将来的に利害が衝突する可能性もあります。
執筆:相沢 透(あいざわ)



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