ウマ娘『シンデレラグレイ』×名鉄電車コラボ徹底ガイド！ラッピング車両・限定アナウンス・聖地巡礼の“見逃せない旅路”

ラッピング電車の走行音に、高柳知葉さんの声が重なる瞬間──その車内には、いつもの名鉄とは違う物語が走っていた。

アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』と名鉄のコラボイベントが2025年春、東海エリアを舞台に本格始動。オグリキャップの魂が、鉄路を駆け抜けている。

ただの“広告電車”では終わらない。描き下ろしビジュアルの迫力、車内アナウンスの没入感、そして全駅を巡るスタンプラリー──このプロジェクトは、アニメと現実が交差する“物語体験”だった。

この記事では、全貌を徹底解剖。ラッピング列車の見どころ、駅ごとの聖地、限定グッズまで網羅し、ウマ娘ファンの「乗り遅れ」を防ぎます。

名鉄×ウマ娘シンデレラグレイ コラボ企画とは？

開催期間とプロジェクトの全体像

2025年春、名鉄と『ウマ娘 シンデレラグレイ』が手を組み、東海エリアを舞台に“走り出した”特別なプロジェクト。その名も「ウマ娘 シンデレラグレイ×名鉄電車」コラボ。実施期間は4月13日から6月30日まで、わずか二か月半の限定開催となっている。

このコラボは、アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』の魅力をリアルな交通インフラと融合させるという、まさに“異色のかけあわせ”。ラッピング電車やスタンプラリー、ポップアップストアといったコンテンツが用意され、移動そのものがエンタメになるような設計がなされている。

期間中は、名鉄2200系2232編成がフルラッピング車両として運行。描き下ろしビジュアルが車体全体を彩り、車内ではオグリキャップ役・高柳知葉さんの録り下ろしアナウンスが流れる。聴覚と視覚、そして移動体験を丸ごと包み込む、まさに“走る劇場”だ。

加えて、名鉄沿線を活用したスタンプラリーでは、各駅で異なるキャラクターのポストカードがもらえる仕掛けや、抽選でサイン入り系統板が当たるキャンペーンも展開。旅というフォーマットを、物語体験へと昇華させている。

筆者としても、このプロジェクトには胸が高鳴った。アニメと現実がこんなにも自然に溶け合い、「ファンとしての移動」がここまで意味を持つとは思わなかった。通勤電車だったはずの車両が、急に“推しと会えるステージ”に変わってしまう、この魔法の正体に触れた気がした。

そして何よりも印象的だったのは、「名鉄」という地域に根ざした交通機関が、ウマ娘という“全国区のカルチャー”を巻き込んでくれたこと。地方発の物語と、地元のインフラが手を取り合うことで、ファンにとっては「作品の世界が地続きで広がっている」と実感できる。これこそが、現代のアニメ体験の新たな形かもしれない。

オグリキャップの物語が鉄道に息づく理由

そもそも、なぜ『シンデレラグレイ』と電車なのか？そこには、オグリキャップというキャラクターの生き様と、鉄道というメディアの“重なり”があったように思う。

オグリキャップは、地方から突如現れ、中央の舞台で旋風を巻き起こした“異端のヒロイン”。名鉄というローカル鉄道の枠を飛び越えて全国の注目を集めるこのコラボ構造は、まさに彼女のストーリーと呼応している。

そして、「シンデレラグレイ」の魅力は、その泥臭さ、地方性、努力と逆境の連続にある。それを“名鉄”という日常の風景に重ねた時、オグリの魂は一層リアルに感じられるようになる。何気ない改札口やホームに、彼女の走り抜けた風が宿る──そんな錯覚すら覚えるのだ。

また、鉄道という存在は、ただの移動手段ではない。時間と人を運び、物語の舞台をつなぐ“動的なインフラ”だ。オグリキャップが地方から中央へ、そしてさらに高みへと駆け上がっていったように、この電車もまた、見る者の“感情”を乗せて走っていく。

コラボ電車のデザインが、あえて山側と海側で異なるイラストを展開している点も象徴的。観る角度やルートによって“表情”を変えるこの演出には、オグリキャップの多面的な魅力──孤独、覚悟、ひたむきさ──が込められているように感じた。

だからこそ、この企画はただのタイアップでは終わらない。ウマ娘というIPが持つ物語の力と、名鉄という生活の風景が交差した時、「現実に物語が流れ込んできた」ような感動が生まれる。これは、体験型アニメ文化の最前線であり、ファンとして“乗り遅れ厳禁”な一大イベントだと思う。

ラッピング車両2232編成の魅力に迫る

山側と海側で異なるデザインのこだわり

今回の名鉄×ウマ娘コラボで目玉となっているのが、2200系2232編成のラッピング車両だ。全6両編成のうち5両に描かれたデザインは、山側・海側で異なるビジュアルを展開。観る角度によって表情を変える、二面性を持った演出がなされている。

車体を彩るのは、描き下ろしイラストの数々。とくにオグリキャップを中心とした構図が印象的で、彼女の“走り抜ける意志”がビジュアルからもひしひしと伝わってくる。加えて、ミスターシービーやタマモクロスなど、『シンデレラグレイ』を代表するキャラクターたちも登場し、作品世界の厚みが見事に表現されている。

筆者としては、この両面仕様が単なるデザインの違いではなく、オグリキャップの内面と外面を表現しているように感じた。山側＝内に秘めた闘志、海側＝ファンに見せる堂々たる姿。その両面が1編成の中で共存していることが、この企画に一層の深みを与えている。

さらに、ラッピングはただ貼り付けられているだけではない。構図の配置や車体の連続性を考慮して設計されており、車両を目の前にすると「ここで写真を撮りたい！」という衝動が自然に湧いてくる。ファンが“推しとの出会い”を演出できる、そうした細やかな配慮が嬉しい。

列車が駅に滑り込んできた瞬間、あの鮮烈なグリーンの瞳と真正面で向き合う──そんな“出会い”は、アニメのスクリーンとは違った、現実ならではの体験だ。鉄道というメディアを通じて、キャラクターと“同じ時間を共有する”という感覚が、何より新鮮だった。

高柳知葉さんの“声”が車内に宿る演出

そしてこのラッピング列車がただの“見た目イベント”で終わらない最大の理由。それは、オグリキャップ役・高柳知葉さんによる録り下ろしアナウンスが、実際の車内で流れているという点にある。

名鉄車内の放送といえば、どこか機械的なリズムと抑揚。それが、この車両に限っては──オグリキャップの声で「次は、名古屋です」と案内される。その瞬間、乗客は一斉に“ウマ娘の世界線”に引き込まれるのだ。

この演出、ただ声優のセリフを放送しているだけではない。高柳さんの声色には、オグリキャップとしての“少し硬さの残る真面目さ”と、“淡々としながら芯のある意志”が滲んでいて、作品ファンなら一瞬でわかる「これは、演技だ」と感じる仕上がりになっている。

また、この録り下ろしアナウンスは名鉄名古屋駅や名鉄岐阜駅の構内でも展開。列車に乗っていなくても“旅に出る前の物語の入り口”として機能しており、駅に立つだけで「これから何かが始まりそうな予感」が湧き上がってくる。

筆者も実際に現地で耳にしたが、駅という日常空間にアニメキャラの声が溶け込む様は、まるでアナザーストーリーが始まる“導入カット”のようだった。「日常の景色に、物語を忍ばせる」──そんな演出設計の巧みさに、ただただ唸らされた。

この列車は、ビジュアルと音声、そして空間演出の三重奏でファンを迎えてくれる。単なる交通手段ではなく、“乗ること自体が体験”になるこのコラボ。鉄道×アニメのコラボは数あれど、ここまでの完成度と没入感はなかなかない。

スタンプラリーで巡る“ウマ娘聖地”の旅

全7駅の設置場所とルートの最適化

今回の名鉄×ウマ娘コラボにおけるもうひとつの目玉。それが、全7駅を巡るスタンプラリーだ。「移動」そのものがテーマとなるこの企画において、スタンプラリーはまさに“物語の旅路”そのものを体験させてくれる仕掛けだ。

スタンプの設置駅は、名鉄名古屋・金山・名鉄岐阜・笠松・中京競馬場前・刈谷・太田川という、沿線の拠点を押さえた構成。地理的に見ても、名古屋を中心に放射状に広がるこの7駅をめぐることは、“ウマ娘が駆け抜けた軌跡”をたどるような感覚に近い。

効率よく巡るには、始点を名鉄名古屋または名鉄岐阜に設定し、スタンプ台紙を引き換えたうえで移動を開始するのがベスト。ラッピング車両に乗車できるタイミングを合わせることができれば、その移動時間すらイベントの一部になる。

また、それぞれの駅では、オリジナルポストカードが限定配布されている。駅ごとに異なるキャラクターが描かれており、まさに“ここでしか会えない推し”がそこにいる。ファンなら誰しも、「全部集めたくなる衝動」を抑えきれないだろう。

筆者としてもこの巡礼旅、感覚としては“アニメのロケ地めぐり”に近かった。改札の風景やホームの音、空気感すら物語の一部に感じられてきて、気づけば「日常の中にウマ娘が棲んでいる」感覚が心地よくなっていた。

クリアファイル＆抽選系統板の特典情報

スタンプラリーをコンプリートした先には、ファン心をくすぐるご褒美が待っている。まず、7駅すべてのスタンプを押印すると、駅窓口で限定デザインのオリジナルクリアファイルを1枚プレゼント。数量限定、先着順という点も「早く動かなきゃ」と旅心を掻き立てる。

さらに、台紙に記載された専用応募フォームから応募することで、抽選でウマ娘キャストのサイン入りオリジナル系統板（全5種）が当たるキャンペーンも実施されている。こちらの系統板は、実際の名鉄車両で使用されているサイズ感・デザインを再現しており、鉄道ファンのツボも完全に押さえてきている。

これらの特典は、単なる“おまけ”ではなく、スタンプラリーの“物語のエンディング”としてきちんと機能している。物理的に距離を移動し、各駅でキャラクターと出会い、最後に“記念”としてアイテムが手元に残る。そのプロセス全体が、ひとつの物語体験なのだ。

なお、注意点として、クリアファイルは数に限りがあるため、週末の混雑時は配布終了の可能性も。筆者も実際、午後に訪れた際には「終了」の札が掲げられている駅もあった。確実にゲットしたい方は、午前中からのスタートがおすすめだ。

スタンプを押すたびに、駅の風景が“アニメの背景美術”に見えてくる。ウマ娘という作品が、単なる画面の中の物語ではなく、地続きの空間に拡張していく。その感覚は、このスタンプラリーだからこそ味わえる特別な体験だ。

名鉄百貨店ポップアップとコラボグッズ完全網羅

駅別デザインの限定アクスタ＆ポスカ

今回のコラボで、スタンプラリーと並ぶ大きな魅力が「グッズ展開」の豊富さだ。中でも特筆すべきは、駅ごとに異なるデザインで展開される“アクリルスタンド”と“ポストカード”。各駅が、それぞれのキャラクターとリンクする“聖地”として機能しているのが面白い。

例えば、中京競馬場前駅にはオグリキャップ、笠松駅にはミスターシービーといった具合に、舞台とキャラの相関性がしっかりと設計されている。ファンにとっては「この駅に来たからこそ、このキャラと会える」という体験価値が詰まっており、収集欲と聖地巡礼のモチベーションが同時に高まる仕掛けだ。

筆者自身、アクリルスタンドを手にした瞬間、「これは駅で撮るしかない」と思わず構図を探してしまった。車両を背景にアクスタを掲げる行為が、“旅の記録”ではなく“物語の1コマ”として定着する。こうした「グッズが場面を作る力」は、ファンアイテムの本質を突いている。

また、ポストカードの絵柄には旅情が宿っており、デザインそのものが“東海地方を走るウマ娘たち”というコンセプトで統一されているのも印象的。もはや紙一枚が「世界を運ぶ媒体」になっている感覚だ。

この駅別仕様は、「作品を深く知っている人ほど楽しい」仕組みでもある。誰がどの駅を担当しているのかを考え、なぜそのキャラ配置なのかを想像する──そんなファンの想像力を刺激する設計に、制作陣の愛を感じずにはいられない。

記念きっぷやどて煮まで!? グッズの多彩さに驚愕

ポップアップストアは、2025年4月23日から5月5日まで名鉄百貨店本店7階にて開催。そこでは、アニメファンの“物欲”に応える数々のコラボグッズが一挙に並ぶ。ラインナップをざっと見ただけでも、アクリルキーホルダー、缶バッジ、手ぬぐい、バスタオル、ポストカードブック、記念乗車券──と、その種類はまさに圧巻。

なかでも個人的にツボだったのが「系統板マグネット」と「どて煮パッケージ」だ。前者は鉄道ファン心をくすぐるデザインアイテムであり、後者は地元名古屋のソウルフードとウマ娘の異色コラボというサプライズ。お土産にもネタにもなるこの組み合わせに、「名鉄さん、わかってる」と唸らされた。

また、1DAYフリーきっぷ提示で限定ノベルティがプレゼントされるキャンペーンも実施。スタンプラリーと連動したこの特典設計は、単なる“買い物”を“体験型の旅”へと変えてくれる。購入したグッズが、旅の記録として残る。その文脈が、ファンにとっての「持つ理由」になるのだ。

筆者は実際、ポップアップストアを訪れた際、「見るだけのつもり」が結果として大荷物に……。でも不思議と、財布が軽くなっても後悔はなかった。むしろ“物語の一部を持ち帰れた”という実感が、満足感に直結していた。

この多彩なグッズ群は、単なる販売促進ではない。作品への愛と、鉄道文化への敬意、そして“その場でしか得られない一瞬”を、ファンに届けようとするメッセージの塊だ。だからこそ、ポップアップの空間には“熱”がある。モノに触れるたび、心が旅をしていく──そんな場所だった。

見逃し厳禁！電車ファン＆アニメファンへの注意点

ラッピング車両の運行スケジュールと混雑予測

名鉄の2200系2232編成がウマ娘仕様で走る──この情報だけで、心が高鳴ったファンは多いはず。しかし、いざ“実物”を目の前にするためには、事前の情報収集が欠かせない。というのも、このラッピング車両、運行スケジュールが完全に固定ではないのだ。

車両は通常の営業運転の一環として運行されており、時刻表に「この時間にラッピング車両が来る」と明示されているわけではない。ゆえに、「偶然出会える運も含めた旅」を楽しむというロマンと、「確実に乗りたいからこそ情報をかき集める」という戦略性が求められる。

筆者が現地で感じたのは、週末の混雑度の高さ。特に名鉄名古屋駅や名鉄岐阜駅では、ホームにカメラを構えるファンや、アナウンスを録音する人でかなりの賑わいを見せていた。人波の中で落ち着いて写真を撮るには、早朝〜午前中の時間帯が比較的狙い目だ。

また、駅係員や一般利用者への配慮も忘れずに。イベントを楽しむ姿勢と、日常を送る人々との共存は、鉄道コラボイベントにおいて極めて重要なマナー。ウマ娘の世界観がリアルに広がっているからこそ、我々も現実世界の住人としてのリスペクトを持って関わりたい。

なお、SNS上では「◯時に何駅でラッピング車両を見た」といった“目撃情報”がリアルタイムで共有されており、それをもとにルートを予測する動きもある。ファン同士のこうした情報連携が、旅そのものを一層エモーショナルなものに変えているのも、面白い現象だ。

アナウンス非実施日や注意事項のポイント

せっかくの旅だからこそ、“録り下ろしアナウンス”も逃したくない。しかし、実はこの特別アナウンス、車両点検や状況によって“流れない日”も存在する。つまり、ラッピング車両に乗れても、その日が「静かな車内」だった……という可能性もあるのだ。

こればかりは現地に行くまでわからない場合が多く、筆者も初日は“無音”に当たってしまい肩を落とした記憶がある。だが、逆に言えば「声が聞こえた時の感動」はひとしお。あの一瞬のために、何度でも足を運びたくなってしまうのだ。

その他、スタンプ台紙の引き換えも数に限りがあり、各日先着順。週末や連休中は昼過ぎには終了している駅もあり、確実にスタンプラリーを楽しみたいなら、午前中の行動がベター。加えて、クリアファイルのプレゼントも同様に数量限定なので、欲しい人は早めに計画を立てたい。

また、イベント期間中は特に名鉄の主要駅に人が集中しやすいため、マナー遵守が問われる場面も多くなる。ホームでの撮影時は黄色い線より前に出ない、駅員さんの指示には従う──当たり前のようでいて、熱が入ると忘れてしまいがちな基本こそ、ファンとしての“美しさ”を表現する場面になる。

最後にひとつ。「もし列車やアナウンスに出会えなかったとしても、その旅自体がすでに“作品世界を歩く体験”なのだ」と思えるようになると、このコラボの本当の価値が見えてくる。狙って出会うことも、偶然が運ぶ感動も、どちらも“ウマ娘らしい奇跡”だから。

コラボの意義と“ウマ娘”という文化の拡張

なぜ今「シンデレラグレイ」が電車と手を組んだのか

『ウマ娘 シンデレラグレイ』が鉄道とコラボする──この組み合わせに最初は意外性を感じた人も多かったのではないだろうか。だが、実際にこのプロジェクトに触れてみると、「なるほど、これは必然だった」と思わずにはいられない。

そもそも『シンデレラグレイ』という作品は、オグリキャップの“地方からの逆襲”を描く物語だ。中央の舞台で脚光を浴びるまでの、努力と挑戦、泥臭さと情熱。その構造は、まさにローカル鉄道の姿勢と重なる。決して派手じゃない。でも、地元に根ざし、人々の移動と日常を支える力がある。

名鉄という地域密着型の鉄道会社が、ウマ娘と手を組んだ意味。それは、作品が持つ“地方発の輝き”というテーマを、リアルなインフラに重ねて体現することだったと思う。オグリキャップの原点である“笠松”も沿線に含まれている点が、その意図をはっきりと物語っている。

また、鉄道というメディアは、“場所と時間をつなぐ装置”でもある。駅から駅へと物語が移り変わっていくように、読者・視聴者の感情もまた、その旅路に乗って揺れ動く。つまり、電車という手段が、ウマ娘の“物語性”を乗せて走るのは、極めて自然な演出方法だったのだ。

筆者としても、このコラボで何度も「これは物語の拡張そのものだ」と実感した。単に車両を飾るだけでなく、駅や商品、アナウンスまで含めて、ウマ娘という物語世界を“現実に輸送”している。この大胆さと繊細さの両立こそ、今のアニメ文化の懐の深さだと思う。

アニメ×鉄道の未来を指し示すプロジェクト

今回の『ウマ娘 シンデレラグレイ』×名鉄コラボは、単なる一過性のイベントではない。アニメと鉄道、二つの異なる文化が交差し、新しい“公共空間での物語体験”を提示した、象徴的なプロジェクトだ。

たとえば、ラッピング電車に乗った子どもが「このキャラなに？」と尋ね、親が「ウマ娘だよ」と教える。その会話ひとつが、作品の認知を広げ、文化として根付いていく。つまり、このコラボは“アニメを共有する社会”を静かに築いているのだ。

さらに、鉄道の社会的役割──地域の足であり、公共財である──という文脈に、アニメの“感情移入させる力”が重なるとき、乗り物は単なる移動手段ではなくなる。それはもう、“誰かの物語を運ぶ器”になる。

ウマ娘というIPが、ただのエンタメを超えて「体験をデザインする力」を持つことを、今回のコラボは明確に証明してくれた。スタンプラリーに夢中になる大人たち、声に耳を傾ける鉄道ファン、グッズを求めて旅を始めたアニメファン──そのすべてが、「アニメと生きる社会」の証左だと思う。

そしてこの流れは、今後もさまざまな作品に受け継がれていくだろう。「駅を舞台に、物語が展開する」。そんな文化が、もっと当たり前になっていく未来。その先陣を切った今回のプロジェクトは、まさに“文化拡張の号砲”だった。

まとめと次回予告

この記事で得られる旅の準備と気づき

ウマ娘『シンデレラグレイ』×名鉄の電車コラボ──その全貌をたどる旅は、単なる移動やグッズ収集ではなく、“作品世界の中を歩く体験”だった。それは、電車に乗ること、駅を巡ること、声を聞くこと、すべてに“物語が流れている”という実感を与えてくれた。

本記事では、スタンプラリーの攻略法からラッピング列車の魅力、そしてグッズやアナウンスの詳細に至るまで、実地に踏み込んだ情報をお届けしてきた。行動前の準備として、あるいはすでに旅した人の“答え合わせ”としても、参考にしていただけたら嬉しい。

そしてなにより、このコラボの本質は「出会い」だったと感じている。電車というメディアにウマ娘が宿り、キャラクターと現実が交差する瞬間──それは一瞬の魔法でありながら、ファンの記憶に深く残る“物語との再会”でもあった。

オグリキャップの視線の先にあった未来。それが今、名鉄沿線に“かたち”となって現れている。こんな体験があるから、アニメと生きることはやめられない。ファンとしての心がまた一歩、物語に近づいてしまった。

この記事をきっかけに、あなたもぜひその電車に乗り、駅を巡り、グッズを手に取り、声を聞いてほしい。日常の風景が一変する瞬間が、そこには待っているから。

今後の展開にも期待高まる「次の一歩」

この“ウマ娘×鉄道”というコラボの成功は、今後のアニメ作品にとっても大きなヒントになるはずだ。日常の中にアニメを溶け込ませること。物語を公共空間に開いていくこと。それがいま、着実に文化として根付き始めている。

名鉄と『シンデレラグレイ』の取り組みは、単発の話題づくりでは終わらない。キャラクターとファンが“同じ時間・同じ空間”を共有するモデルケースとして、今後のコラボ文化の未来を照らしているように思う。

そして筆者としては、ぜひ次回以降にも期待したい。たとえば、笠松競馬場でのリアルイベント展開や、ラッピング車両の第2弾、あるいは車内での限定ミニドラマ放送など……。このプロジェクトには、まだまだ伸びしろがある。

もしそうした“次の物語”が始まるのなら、また私はその現場に駆けつけるだろう。そしてきっと、またこの記事を書く。誰かが迷わずその世界を楽しめるように──そして、物語とともに生きる喜びを、あなたと分かち合うために。

“また電車で会おう”。そう言いたくなるような、温かいコラボだった。