光が死んだ夏 つまらない・面白くないと感じた理由まとめ

「光が死んだ夏」、あれだけ話題になってるのに……正直ピンとこなかった、という人、実は少なくないんです。

ホラーなのに怖くない？キャラの関係性が微妙？じわじわ系の作風に合わない？──その「なんとなくの違和感」、ちゃんと言語化してみたら、見えてくるものがありました。

この記事では、「光が死んだ夏」がつまらない・面白くないと感じた読者の声をもとに、具体的な違和感の理由を徹底分析。そして、「なぜそう感じる人がいるのか？」を筆者自身の視点から深掘りしていきます。

逆に「そこが良かったのに…！」と感じるファンの方も、なぜ人によって賛否が分かれるのかがわかるはず。あの“異様な夏の空気”を、もう一度違う目線で味わってみませんか？

「光が死んだ夏」がつまらないと感じた人たちのリアルな声

ホラーとして“怖さが足りない”と感じる層の本音

『光が死んだ夏』は“ホラー作品”と銘打たれているにもかかわらず、「全然怖くない」「ホラーとしては弱い」と感じた読者も少なくないようです。SNSやレビューサイトでは、「怖さがじわじわ来るタイプ」「もっと衝撃的な展開が欲しかった」といった意見が並んでおり、期待していた“恐怖の種類”とのズレが浮き彫りになっています。

筆者としても、たしかに『光が死んだ夏』が描いているのは、いわゆる“ドーンと驚かせるスリラー”ではなく、湿度を孕んだ静謐な不気味さです。夏の光に焦がされるようなゆっくりとした違和感。その怖さにハマるか、物足りないと感じるかは、読者の“ホラーへの嗜好”によって大きく分かれます。

特に現代の読者は、ネットや映像作品を通じて強烈な恐怖体験に慣れてしまっている部分もあり、「じわじわ系」の恐怖では満足できない層が増えているのも事実。瞬間的なスリル、明快なジャンル性、予想外のショック描写──そういった要素を求めて本作を手に取ると、“薄味”に感じてしまうのかもしれません。

でも逆に考えると、『光が死んだ夏』が描こうとしているのは、“あきらかに異常な状況”ではなく、“日常に潜む異質な存在”なんですよね。その“明確にホラーだと言いきれない怖さ”に惹かれる人もいる。この絶妙なさじ加減が、一部読者にとっては“響かない”要因にもなりえる。怖さって、つくづく相対的だと思い知らされます。

つまり、「つまらない」と感じた読者の声の中には、“怖さ”という感覚そのもののズレがある。『光が死んだ夏』は、“何を怖いと感じるか”を問う作品でもあるのです。

“グロい・気持ち悪い”描写が生理的に無理な読者

一方で、「つまらない」という評価とは違った意味で、“もう読めない…”と途中で離脱してしまう読者もいます。その大きな理由が、作中に散りばめられた「気持ち悪さ」──特にグロ描写や擬音表現に対する生理的な嫌悪感です。

ネット上では、「ヌウェェ」「グチュグチュ」といった効果音が不快だったという声もありました。紙の漫画であっても、“音が聞こえてくるような”文字表現の生々しさは、本作の演出の特徴でもあります。しかし、それが逆に「もう無理」となる読者もいる。いわば、作品の武器が一部の人には毒になってしまっている。

筆者自身も、最初に読んだときは「えっ、気持ち悪っ…」と一瞬手が止まりました。でもその“嫌悪感のリアリティ”が、“これはただのフィクションじゃないかも”という異様な空気を生んでいる。だからこそ評価される部分でもあり、そこで拒絶反応が出る読者にとっては“作品ごと受け入れがたい”ものになってしまうのだと思います。

作品が醸し出す「不快さ」は、わざと狙っているものです。だから、怖さとは別の“生理的なライン”を超えてしまう可能性がある。そこに引っかかってしまった読者にとっては、「ホラーとしてつまらない」というより、「読めないから面白さが伝わらない」という形で作品との距離が開いていく。

結局のところ、こうした“気持ち悪さ”もまた、本作が挑戦している表現の一つ。好き嫌いがくっきり分かれるのも当然と言えるかもしれません。

読者の期待とズレた構造──物語・演出面の問題点

物語構造の“静かすぎる展開”が緊張感を削ぐ

『光が死んだ夏』が「つまらない」と感じられてしまう理由のひとつに、その物語構造の“静けさ”があります。導入から中盤にかけて、派手な事件も起こらず、日常と非日常の境界が曖昧なままゆっくり進行していく──この“間”の作り方が、読者によっては「退屈」と映るのです。

特に最近の漫画では、序盤からインパクト重視の展開が好まれる傾向が強く、テンポよく進むストーリーに慣れてしまった層にとっては、この静けさが“もどかしさ”に感じられるのかもしれません。物語が一気に動く“加速の瞬間”まで辿り着く前に、読むのをやめてしまう──そんな声もSNSでは見受けられました。

筆者としては、この“静かな時間”にこそ、本作の真価があると思っています。なぜなら、その間こそが、不気味な気配をじわじわと植えつける演出装置だからです。小さな違和感が積もり積もって、ある瞬間に「すべてが変わっていた」と気づかされる──この“ズレ”の感覚は、派手な展開では出せないものです。

けれども、この演出が「怖くなる前に飽きた」「話が進まない」と受け取られるのも、理解できる話です。ホラーに限らず、作品を読む上で“テンポ感”は重要な要素。そこで読者との“物語への温度差”が生まれてしまえば、いくら仕掛けが巧妙でも「面白くない」という評価に繋がってしまう。

つまり、“静けさの演出”が本作の魅力であると同時に、“読者を選ぶリスク”にもなっている。そこが『光が死んだ夏』という作品の難しさであり、挑戦でもあるのです。

演出の“間”や“擬音表現”が受け入れられにくい理由

物語の展開に加えて、本作の演出方法もまた、「つまらない・面白くない」と感じられる理由の一端を担っています。特に話題となったのが“擬音表現”の使い方。作中では、「ヌウェェ」「グチュグチュ」といった不快な音が文字としてページに現れ、それが視覚的なインパクトを強く残します。

これらの擬音は、単なる音の描写ではなく、“空気の湿り気”や“身体の異常”を読者に生々しく感じさせる仕掛けです。あまりにリアルであるがゆえに、「読むのがしんどい」「気持ち悪くて集中できない」といった反応を引き起こしてしまうわけです。

筆者自身も、この擬音表現にはある種の“生理的リアリティ”を感じました。文字だけなのに、まるで音が聞こえてくるような不気味さがある。それが“怖い”に繋がる人もいれば、“生理的に無理”と拒否反応を示す人もいる。この違いは、作品への没入感に大きな差を生むポイントだと思います。

また、演出の“間”──沈黙や無音、視線のズレなどを描く演出も、緊張感を高める仕掛けとして機能している反面、「間延びしてる」「テンポが悪い」と受け止められてしまうリスクがあります。つまり、“繊細な空気感”を伝えようとした演出が、逆に「何も起きない＝退屈」と解釈されてしまうのです。

『光が死んだ夏』は、こうした“感覚をじわじわ攻める演出”が好きな人には深く刺さる一方で、それを“面白さ”と結びつけられない読者には「つまらない作品」に見えてしまう。その差こそが、本作における評価の二極化を生んでいるのだと感じます。

“BLっぽい関係性が苦手”という読者の戸惑い

友情と恋愛の境界線にある“不明瞭な距離感”

『光が死んだ夏』に対して「つまらない」「面白くない」と感じる読者の中には、作品の軸に据えられた“キャラクター同士の関係性”に違和感を覚えたという声も見受けられます。とくに、主人公・よしきと“光に擬態した存在”の関係性が、友情なのか恋愛なのか、はたまた執着なのか──その境界があまりに曖昧すぎることが、一部読者には“受け入れがたいポイント”となっているのです。

「男子同士の友情」がテーマと思って読み始めたら、どこか“BLっぽい”ニュアンスを含んだやりとりに戸惑ってしまう。レビューの中には、「行動や台詞が過剰で感情移入できなかった」「男同士の距離感に違和感がある」といった意見も散見されます。

筆者としても、この“不明瞭な関係性”は本作の大きな魅力であると同時に、読者を選ぶ“棘”にもなっていると感じました。光（もどき）は、よしきに対して異様なほど執着し、同時によしきもまた彼に“何か言葉にできない絆”を抱いている。その感情が“恋愛的”に見えるのか、“依存的”に映るのか──そこに読者自身の価値観が投影されるのです。

そもそも、ホラーというジャンルの中で“関係性の歪み”を描く手法は非常に有効です。相手に対する信頼や絆が強ければ強いほど、そこに疑念が生じた瞬間の恐怖は倍増するから。ただ、それが“BL的な濃密さ”を想起させてしまうと、ジャンル的な期待を裏切られたように感じてしまう読者も出てくる。ここがまさに“期待のズレ”なんですよね。

『光が死んだ夏』が仕掛けているのは、あくまで「正体不明の存在と人間の関係性」に潜む不安のドラマ。でも、その描写が“感情的な距離の近さ”を強調しすぎたことで、受け取り方に幅が出てしまった。だからこそ、“BLっぽさが苦手”という層には、作品全体の空気が居心地の悪いものになってしまったのだと思います。

“腐向けではないけどBL風”が刺さらない理由

『光が死んだ夏』は、公式にはBL作品ではありません。ジャンルは「青年ホラー」に分類されており、作者自身も恋愛関係を明示的に描いてはいません。けれども、実際に読んだ多くの人が「BLっぽい」「腐女子向けっぽい」と感じてしまうのはなぜでしょうか。

その最大の要因は、やはり“演出の濃さ”にあります。視線の交差、言葉の選び方、そして何よりも“感情の引き伸ばし”──それらが、一般的な男性同士の友情描写に比べて、明らかに“近すぎる”と感じさせるのです。レビューには、「BL作品ではないのにBL風味が強すぎて読めなかった」という反応もあり、ジャンルと内容の不一致が“違和感”を生んでいることがわかります。

筆者も、初見の時は「これは恋愛じゃない、執着だ」と思っていたのですが、よしきの描写があまりに“情愛のようなもの”を含んでいて、途中で「あれ？これは狙ってるのか？」と疑ってしまった瞬間がありました。その“読者を混乱させる絶妙なライン”こそが、評価を分けるポイントなんですよね。

また、“腐向け”であることを期待して読む人にとっても、この作品は明確なカタルシスや結末があるわけではなく、あくまで“曖昧さ”に浸るタイプの物語。つまり、BLを期待した人にも響かず、BLが苦手な人には“匂わせ”すぎて受け入れられない──この“誰にとっても中途半端に映る危うさ”が、本作を「面白くない」と感じさせてしまう原因のひとつなのです。

『光が死んだ夏』は、ジャンルの外見と中身のギャップをあえて走らせる作品です。その曖昧さを楽しめる人には刺さる一方で、“ジャンルの純度”を求める読者には、むしろ拒絶に近い違和感を抱かせてしまう──そこがこの作品の“魔性”とも言えるかもしれません。

そもそも「光が死んだ夏」はどんな作品なのか

ジャンルと作者の意図──青年ホラーとしての文脈

『光が死んだ夏』は、墨谷渉（すみたに・わたる）氏による青年漫画で、「月刊少年マガジンR」（のちにマガポケ）で連載されているホラー作品です。ジャンルは“青年ホラー”に分類されており、決してBLではなく、恋愛漫画でもありません。それにもかかわらず、キャラクター同士の関係性や空気感から“BLっぽい”“匂わせ系”と評されてしまう点が、この作品のユニークさでもあり、誤解を生む要因でもあります。

物語の舞台は、どこにでもありそうな田舎町。ある日、“親友・光が死んだ”という衝撃の事件が起きる──けれど、数日後、その“死んだはずの光”がふたたび目の前に現れる。そこから始まる、夏の静寂に包まれた恐怖と違和感。この出だしの引きは完璧で、多くの読者が「えっ、どういうこと？」と一気に引き込まれる導線になっています。

筆者が特に感じたのは、“ホラーとしての恐怖”というよりも、“正体のわからない気配”への恐怖。つまり、化け物が出るでも、殺人事件が起きるでもなく、「おまえ、ほんとに光なの？」という疑念だけが、じわじわと日常を侵食していくんです。この、説明されない違和感と“本物と偽物の境界”がぼやけていく構造に、作者の巧妙な設計意図を感じました。

墨谷氏自身も、インタビュー等で「読者に不穏さだけを残したい」と語っており、その狙いは非常に明確。読者を一気に恐怖に落とすのではなく、“じわじわと深く染み込ませる”ことこそが『光が死んだ夏』の核なのです。だからこそ、「怖くない」「よくわからない」という声が出てしまうのも、むしろ狙い通りなのかもしれません。

結局、『光が死んだ夏』は“わかりやすい恐怖”や“明確なオチ”を求める人にとっては不親切な作品。でも、“夏の空気ごと飲み込まれそうな恐怖”を味わいたい人には、たまらない。そこにこの作品のジャンル的ポジションがあるのです。

魅力を感じる人たちが評価しているポイントとは

一方、「つまらない・面白くない」という声がある一方で、『光が死んだ夏』を高く評価する読者も多く存在します。では、彼らはこの作品のどこに惹かれているのか？そのポイントを見てみると、“構造の美しさ”と“感情の濃度”に集約されていきます。

まず挙げられるのが、“違和感の演出”の巧みさ。読者は、光（らしき存在）のほんの些細な言動に「え、これ本当にあの光なの？」と疑い始めるのですが、それを明言せずにじっくり引っ張る構成がうまい。読者自身が“考えさせられる恐怖”に浸ることができ、「先が気になってやめられない」という声に繋がっているのです。

また、よしきの心情描写も本作の魅力。親友を失った哀しみと、“戻ってきた光”への喜びが入り混じる中で、徐々に“こいつは光じゃないかもしれない”という疑念が生まれていく。その感情の移り変わりがリアルで、共感と恐怖が同居する稀有な体験が味わえます。

そして、圧倒的な“空気の描写力”。読者からは、「夏の田舎の風景が怖いほどリアル」「風蝉の音まで聞こえてくるよう」といった感想もあり、空気ごと包み込まれるような感覚がこの作品の強さだと感じます。特に映像的な想像力を刺激する描写の巧みさは、近年のホラー漫画の中でも群を抜いていると思います。

つまり、『光が死んだ夏』は、“ホラー＝驚かせるもの”という認識を揺さぶり、“ホラー＝違和感の積層”として成立させている。その“構造的美しさ”に魅了された読者こそが、本作の評価を押し上げているのです。

読者の“温度差”はなぜ生まれるのか？筆者の視点から

ホラーに求める“質感”の違いが評価を分ける

『光が死んだ夏』に対する「つまらない」「面白くない」という反応には、明確な“温度差”があります。読者によって、「これは怖くて最高」「いや、全然怖くないし退屈」という評価が真っ二つに分かれている。その差はどこから生まれているのか──筆者は、“ホラーというジャンルに対する期待の質感の違い”が大きいと感じています。

たとえば、“ホラー＝驚かせるもの”と思っている人にとって、『光が死んだ夏』のような“じわじわと忍び寄る違和感”は「怖くないし、つまらない」と映ってしまいます。反対に、“ホラー＝心の奥に残るザワザワした感情”だと思っている読者には、この作品の作り込みが深く刺さる。

この違いって、まるで「真夏の怪談話」に対する感性に似てるなと思うんです。ガチで叫び声をあげるような恐怖ではなく、扇風機の音が止まった瞬間に聞こえる、誰もいない廊下の足音みたいな──そういう“間の怖さ”に気づけるかどうか。そこに“温度差”が生まれるんですよね。

実際、SNSでも「全然怖くなかった、もっと展開が欲しい」という意見と、「静かなのに息が詰まりそうだった」と絶賛する声が交錯しており、“作品の温度”と“読者の体感温度”が一致するかどうかが、その評価を大きく左右していることがわかります。

つまり、『光が死んだ夏』がつまらないと感じるか、面白いと感じるかは、“あなたがどんなホラーを求めているか”にかかっている。これこそが、本作が読者を選ぶ最大のポイントだと筆者は思います。

キャラの“内面描写”と“演出温度”のギャップ構造

もうひとつの“温度差”の原因は、キャラクターの描写と演出の間にある“ギャップ”です。『光が死んだ夏』は、キャラの内面描写が非常に濃密です。とくによしきの感情の揺れ──喪失と再会、そして徐々に芽生える疑念──その移ろいを細やかに描いている点は、多くの読者から評価されています。

ところが、この“感情の濃さ”と“物語の静けさ”が釣り合っていないと感じる人もいます。つまり、キャラはすごく動いているのに、演出が静かすぎて“ドラマとしての高揚感”を感じにくい。これが、「気持ちはわかるけど退屈」「動きがないから感情が入ってこない」といった評価に繋がっているわけです。

筆者の目から見ると、これは“意図的なズレ”だと感じています。よしきたちが心の中では激しく揺れているのに、風景はただ夏の空を映し続ける。セリフは少なく、ページは余白が多い。その“内面と外面のギャップ”こそが、本作における不穏さを生んでいるんです。

でも、だからこそ、そのギャップが受け入れられない人には「物語として成立していない」と見えてしまう。いわば、“読者と作品の体温が合わない”状態。このズレが“つまらない・面白くない”という感想を引き出してしまうのだと思います。

要するに、『光が死んだ夏』という作品は、“読者の目線を試してくる”。じっと見て、静かに読み解こうとする人にだけ、本当の怖さを見せてくれる。だから、逆にその“静けさの先にある凶悪さ”に気づけなければ、ただの淡々とした話にしか見えない。それが、この作品を語る上で最大のギャップ構造なのです。

「光が死んだ夏 つまらない」まとめ

評価が分かれるのは“作品の意図”と“読者の期待”のズレ

ここまで『光が死んだ夏』に対して「つまらない」「面白くない」と感じた理由を掘り下げてきましたが、総じて言えるのは、読者側の“期待”と作品が持つ“演出の意図”とのズレに原因がある、ということです。

ホラーを読むときに、“驚かされたい”“事件が起きてほしい”“テンポよく進んでほしい”といった要素を求める読者にとって、『光が死んだ夏』はまるで“待っても何も起きない”ように見えてしまう。そしてその結果、「つまらない」と評価されてしまうわけです。

けれど、この作品が提示している恐怖は、“何かが起こる前の空白”なんですよね。風も音も止まった瞬間の、あの嫌な静けさ。その“何かが来る”かもしれない余白にこそ、本作の恐怖が詰まっている──ここに気づけるかどうかが、評価の分かれ目になります。

さらに、キャラ同士の距離感や空気感が“BLっぽい”と感じる人にとっては、その関係性の描き方すらも“違和感”として積み重なってしまう。逆に言えば、その微妙な感情表現に“良さ”を見出す読者には、たまらなく刺さる作品でもあるのです。

つまり、つまらないという評価は、“あなたがこの作品に何を求めたか”の鏡のようなもの。ジャンルの枠に収まらないからこそ、違和感も共鳴も両立してしまう──それが『光が死んだ夏』という作品の、最大の特徴なんだと改めて思います。

“つまらない”の先にこそ、この作品の本当の価値がある

「怖くなかった」「よくわからなかった」「BLっぽくて苦手だった」──そんな風に途中で読むのをやめた人もいるでしょう。でも、筆者は思うんです。もしかしたら、この作品の本当の恐怖って、“読んだあと”にじわじわ効いてくるタイプなんじゃないかって。

たとえば、何気ない日常の中で、「あれ、今のあいつ、なんか違った気がする…」と感じた瞬間──そんな“名前のつかない違和感”を描こうとしたのが、この『光が死んだ夏』なのだと思います。それって、ハッキリした恐怖よりずっと根深くて、逃げられないものなんですよね。

だから、「つまらなかった」と思っていた人も、もしかしたら数日後、ふとした瞬間にこの作品を思い出してゾワッとするかもしれない。静けさの中に潜む狂気。それが、この作品の最大の魅力であり、最大の難解さでもある。

評価が割れる作品というのは、決して“出来が悪い”わけではありません。“評価される場所が深すぎる”からこそ、そこに届いた人と届かなかった人で反応が真逆になる。『光が死んだ夏』もまさに、そんな“沈黙の中に棘を隠した物語”なのだと思います。

最後にひとつだけ。「つまらない」と思っても、決して間違っていません。だけど、それでももし、なにか胸に引っかかるものがあるなら──もう一度あの夏を覗いてみてください。きっと、違う風景が見えてくるから。